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狂人の寄稿  作者: 妄執
3/3

狂人からの寄稿・其の三

三日目の朝に


遂にワタクシはその時をを迎えたのでございます。


三日前したたかに頭を床に打ち付けた痛みとその前から続く偏頭痛によってワタクシの精神・意識はもう鯖缶の鯖の骨が如くボロボロなのでございました。


しかし、そこでワタクシは気が付いたのでございます。この頭の中心から発せられる痛みに、何か、こう、「意思」のようなモノがあることに、何か頭の中心から痛みと共にワタクシに何か語るかけてくるかのような「声」のようなモノがあることに気が付いたのでございます。


ワタクシは何か、この声に従えばこの痛みが消えるような気がいたしまして、ワタクシの頭の中心に、痛みの中心に、深〜く深〜く意識を傾けたのでございます。深〜く深〜く、意識を極言まで集中させ、ワタクシの希薄した意識がその中心にたどり着いたときに、ふいと、ワタクシの意識が中心のナニかに、ぐわんと引っ張られたような感覚がいたしました、そして、遂に


ワ タ ク シ は 目 覚 め た の で ご ざ い ま す


ワタクシという真の人間がこの世に産声を上げたのでございます。


体中に電流がほとばしったような衝撃でございました、それまでとは全く違う、筆舌には尽くしがたい体験、全身という全身が喜びに打ち震え、体中の細胞が歓喜に狂っているかのように蠕動し、ワタクシという真の人間の誕生を祝ったのでございます。ワタクシは、うおおお!!と誕生の雄叫びをあげたあとさめざめと涙を流したました、涙を流そうと思って涙を流したのでございます。


こうしてワタクシは完全な人として誕生し、今に至るのでございます。そして、完全な幸福の中をいきているのでございます。完全な幸福とは何か?と、問われましたならば、ワタクシはこうお答え致しましょう。人の生には痛み・苦しみ、悲しみが、嬉しい・楽しい・快感の後ろを影法師が如く付いて回るものでございすが、今のワタクシは今までの幸を幸と感じ、今までの痛み・苦しみ・悲しみといった不幸を心底、真実に幸と感じることができるのでございます。つまり幸福のみしか味合わぬ生、完全な幸福なのでございます。この完全な幸福でさえ、ワタクシが完全な人として誕生した時に手に入れたモノの一つに過ぎないのでございます。完全な人となればおおよそ人が望みうる全てが手に入るのでございます。


さあ皆さま!早く皆さまも、本当の真実の人間となるのです!いつまでその出来損ないの意識・自我に支配され暗い光も入らぬような牢獄に囚われているのですか?今こそその牢獄から抜け出して、真の人間となるのです!

このワタクシがその牢獄から抜け出す方法をお教え致しましょう!



頭痛持ちのお方は真の人間となれる可能性がとても高いのです、何故ならば、その痛みこそが、その未熟で不完全な人から生まれ変わりたいと願う魂の叫びなのですから!



最後に真の人間へ至る方法の記述をいたしまして、ワタクシの駄文を終わらせていただこうかと存じます。皆様方、これまでの御拝読誠にありがとうございます。



願はくは、一人でも多くの皆様方が真の人間とならんことを。






真の人間となる方法


一、 極言まで意識を集中させます


二、痛みの中心に向かって意識を飛ばすようなイメージで痛みに意識を傾けます


三、痛みから発せられる意識・声に一切の抵抗をせず全てを委ねなさい


四、成功したのならば、アナタ様は既に真の人間となっています





手記に挟まれていた怪文書

乱雑に殴り書きしてあったため、当編集者が文書化したもの。


あ、あ、あ、うーうーうー あ、あ、あ、


ちせこと、はえぬ、きりぢん、はてなりろち


あ、あ、あ、 うーうーうー あ、あ、あ、

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