表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法大国の花嫁様!?  作者: 時雨瑠奈
旅行に行く少女
26/33

第二十五幕 ~神の村の少女~

 相沢美冬は果物を食べながら

椅子に座っていた。

 果物はどんどん並べられて

いく。

 頭がぼうっ、としていたけれど、

彼女は何も考えずに果物を次から

次へと口に運んでいた。

 しかし、瑞々しい果物はとても

美味しく、それはどんどんとなく

なってしまう。

「生神様、お腹は張りましたか?」

 と、一人の少女が声をかけて来た。

美冬はその少女の名前が思い出せない。

 だけど、お腹はいっぱいなので

頷いた。

「そうですか、それはよかったです」

「生神様って私の事なの?」

「そうです。あなたは、この世に並ぶ

者がいない、神聖な生神様なのです!!」

 少女がそう言うと、他の者達も「生

神様!! 生神様!!」と敬うように

美冬に言い始めた。

 美冬はいい気分になり、にっこりと

笑う。

 良く分からないけれど、いい物なのは

確かだ。

 美冬はあまり深く考える事がなく

なっていた。

 考えようとすると、頭がひどくぼうっ

となってしまうから、考える事が出来

ないのだ。

 だけど、心の奥でこれでいいという

声もする。

 このままで幸せになれるのなら、もう

いいじゃないか、と。

 思い出せない事も何もかも捨てて、ただ

言われるがままに過ごしていれば美冬は

幸せになれる。

 それは甘美な誘惑だった。

少女の顔がひどく悲しげになったのにも

気づかず、彼女はにこにことしながら

部屋に連れて行かれた。

 彼女は何も覚えていない。

生神の意味さえ知らない。

 楽しい物の後に待っている恐怖さえ、

何も知らずにそこにいるのだった――。


 エルダは悲しげな想いで美冬を

見つめていた。

 美冬の記憶消し、思考能力を低下

させたのは彼女の仕業である。

 村のためだったとはいえ、ひどい

事をしたという免罪符にはならない。

 幸せだった彼女を不幸に陥らせたのは

エルダだ。

 その事を、エルダはごまかすつもりも、

正当化する気にもならなかった。

 もし、全てが明かされた時、美冬や

カインが自分を裁くのならばあえて罰は

受けよう。

 それが私の使命だ。

エルダはそれ以上は何も言わず、美冬の

手を取って部屋に案内した。

 こぢんまりとしていながらも、綺麗に

飾られた部屋だった。

 この村では一番に上等な物である。

最初村人は反対したけれど、エルダと

村長が言い含めて了解させたのだった。

 彼女は死ななくてはいけないのだから、

それまで思い出作りをさせてあげて、と。

 村人はそれ以上の文句を言う事もなく、

黙って従ってくれていた。

 美冬はただにこにことしているだけで、

それがエルダの心を痛ませる。

 だけど、エルダはそんな事を想っては

いけないと自分をいさめた。

 自分のせいなのに、そんな事を想っては

ならない。

「美冬……?」

 ためらいながらも、エルダは声をかけて

みた。ぼうっ、とした目が彼女を見る。

「なあに?」

 美冬は明らかに様子がいつもとは違って

いたので、エルダは悲しげな顔をすると、

「何でもない」と返して部屋を退出した。

 もう後戻りは出来ない。

村のためにも、彼女は死ななくてはなら

ないのだ。

「ごめんね……ごめんね……、美冬ッ……」

 目からぼろぼろと涙をこぼしながら、

エルダは美冬が来世は幸せになれるようにと

祈るのだった――。

 今回は美冬回です。

記憶がなくなって

しまったので若干

性格変わってますが、

いずれ元に戻る

予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ