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魔法大国の花嫁様!?  作者: 時雨瑠奈
王子の兄弟達に会う少女
13/33

第十二幕 ~挨拶をする少女・四女・王・王妃編~

 後少しだね、と金の髪を煌めかせた王子

カインは美しい黒髪を持つ相沢美冬に声を

かけた。

 そうね、と彼女は返してくる。

大分緊張は薄れたようだ。

 その可愛らしい顔には笑顔さえ浮かんで

いる。

「四番目のお姫様は、どんな方なの?」

「う~ん、どんな方って言われてもな……」

(どうしたのかしら……)

 カインは四番目の姉の事を美冬に聞かれると、

何故か悩んでいるようだった。

 いい人達ではあるけれど、どこか風変りな

人物達とばかり出会った美冬はどこか心配に

なる。

 それに気づいたのか、カインは曖昧な笑みを

浮かべた。

「だ、大丈夫だよ、悪い人じゃないから」

「それは、そうだとは思うけど……」

 カインの姉達や兄達が悪い人だとは思えない。

しかし、こうも悩まれてしまうと不安だった。

 行こうとカインに手を引かれ、美冬は気持ちを

新たに歩き出すのだった――。



「……?」

 花壇で自分が育てている花に水を上げていた、

癖のある鮮やかな赤い髪の少女はさくっと落ちた

葉っぱを踏むような音を耳にし、如雨露を持って

いた手を止めた。

「――レイラ姉様」

「……」

 姉・レイラのあだ名は『寡黙姫』だった。

紅薔薇のように赤い目立つ髪とは裏腹に、彼女は

寡黙すぎるほど寡黙でほとんど喋らない。

 首肯とボディランゲージのみで意思を表すのだ。

なので変わり者の烙印を押されているような女性だが、

優しくいい姉なのは確かだった。

 カインが声をかけると、あいさつをするように美冬と

カインの二人に頭を下げる。

 その際、美冬は彼女がお花を大事に育てている事を

知り、優しい人なんだなと気づいた。

 あんなに綺麗に咲いているお花が、雑に育てられた

訳がない。

 きっと、彼女が丹精込めて育てているのだろう。

「綺麗な、お花ですね」

「……!」

 レイラがにっこりといかにも嬉しそうに笑った。

まさに花の蕾が綻ぶかのような笑みだった。

 美冬はその笑みに思わず見とれてしまう。

でも、どうして喋らないのだろうとも思った。

 なので、王宮の内部に入ってからカインに聞いて

みた。

「カイン、レイラ様は、どうして喋らないの? ひょっと

して、喋れないの?」

「違うんだよ。ここに来る前――王女になる前に、声の事で

からかわれたみたいでそれ以来口を利かなくなってしまった

みたい……。僕も、父様に聞いただけだから詳しくは知らない

んだけど」

「そうなの……」

 美冬は自分も変な声だの、いろいろいじめられていた事を

思い出して青ざめた。

 しかし、カインがきゅっと手を握ると不安が消えていく

ような心地がしたのだった――。



 その後、自分の父と母――つまり王と王妃にも会ってくれと

言われ、美冬はすくみ上がってしまった。

 レイラ達はいろいろな場所から養子として城に入ったため、

実際の所血のつながった子供はカインとフィレンカだけ

である。

 もちろんカインもフィレンカも、彼女達も兄弟だと思っている

けれど、やっぱり王達の実の子としてはあいさつをする必要が

あると思ったのだった。

「わ、私、私……」

「心配しないで、ミフユ。父様達は結構気さくだから。……

というかそうじゃないと、あんなにたくさんの養子を取ったり

してないよ」

 気さくだと言われても、と美冬は思う。

そもそも、美冬は親の愛情を知らずに育った娘だ。

 親という物が、どういう存在なのかもよく分かっていない。

怖くて当然だったのかもしれない。

「ミフユ……?」

「私、両親というのがどういう存在か分からないの。愛され

なかったから」

「……え?」

 カインはその言葉に愕然とした。

美冬が、元の世界で悲しい境遇だった事は知っていたが、実の

両親にまで不当な扱い受けていたのは初耳だった。

「――私、両親に愛されずに育ったの。親は私がいないかの

ように振る舞って、私が声を発したり音を立てたりするだけで、

酷く痛めつけられたわ」

 美冬は淡々と無表情で語っていく。

しかし、心の中はまるで嵐のように荒れていた。

 何年も酷い扱いを受け慣れていたとはいえど、悲しくなかった

訳ではない。

 カインの両親が自分をあんな風に扱うと思っている訳ではない

けれど、ひどく不安で仕方がなかった。

「大丈夫だよ、僕がミフユを守る。父様達にも、絶対にミフユを

傷つけさせたりなんてしない。だから、安心していいよ」

「うん……」

 カインが一緒にいてくれれば大丈夫かもしれない。

恐怖が完全に消えた訳ではなかったけれど、美冬は彼と一緒に

謁見の間へと行く事にした――。



 王族であるカイン達には(養子の子供達も含め)先触れを

出さなくても王に面会する権利が与えられている。

 普段はカイン達はそんな特権を使用したりはしないのだが、

今日は特別に使用する事にした。

 幸い、今日はまだ臣下達と話し合ったりする時間ではなかった

らしく、カインと美冬はあっさりと王と王妃に面会する事が

出来た。

「――父様、母様、遅くなりましたが、僕の花嫁・ミフユを

連れてきました」

「あ、相沢美冬、です……!」

「まあ、可愛らしいお嬢さんね。アイザワミフユさんとおっ

しゃるの? ――あなたの世界では、ミフユというのが名前で、

アイザワが苗字なのでしたかしら」

「はい、そうです。私の世界というか、私の国ではそうなって

ました」

 長い金の髪を優雅に結いあげた女性――カインの母が美冬に

声をかけてくる。

 カインの言うとおり、相当に気さくな女性のようだった。

そして、カインが少し年を取ったような整った顔立ちの男性

――カインの父も口を開いていた。

「わたくしは、リエラ・ルク・フランジェールと申します。

気軽に、お母様と呼んでくれると嬉しいわ」

「カインの父、カイレークだ。仲良くしておくれ、お嬢さん。

綺麗な髪をしているね、こちらにはあなたのような髪の女の子は

いないから珍しいよ」

「……父様、そんな珍獣みたいに言わないでくださいよ、

ミフユを」

「これはすまなかったね、ミフユさん。悪気はなかったんだ、

気にしないでくれ」

「もう、あなたったらもうちょっと言葉には気をお付け

なさいな」

 王妃も王も、自分の子供との関係は良好のようだ。

美冬は、それが羨ましかった。自分の母や父もあんな風

だったらよかったのに。

「あ、あの、リエラ様……」

「まぁ、お母様とは呼んでくれないの? ――あなたも、

いずれは私の娘になるのに寂しいわ」

「私の事もお父様と呼んでくれていいのだよ、ミフユさん」

「でも、私はあなた達の本当の娘ではありません。なのに、

いいのですか?」

「あなたはカインの妻となる女性なのでしょう? なら本当の

娘のような物よ」

「そうだよ、ミフユさん――いや、ミフユ。私達の事は、

本当の親のように思ってくれても構わない。あなたが嫌

なら……」

「いいえ、嫌じゃありません! 嬉しいです……」

 美冬は赤の他人であるはずの自分を本当の子供のように

思ってくれるカインの両親に、嬉しさのあまり涙を零し

カインをおろおろさせた――。

 ようやく全部のあいさつが終わりました、

次回からはまたストックベースに戻るので、

もう少し書くのが早くなると思います。

 カイン達の両親はかなり気さくな設定です。

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