表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法大国の花嫁様!?  作者: 時雨瑠奈
王子の兄弟達に会う少女
12/33

第十一幕 ~あいさつをする少女 四男・次女・三女編~

 後あいさつするのは兄弟達と姉達が四人

だけ、そしてカインの両親達が残っていた。

 相沢美冬はまだ緊張の面持ちである。

「ミフユ、次行こうか」

「そ、そうね……」

 カインは美冬に緊張する必要なんてない

のに、と苦笑しながらもそんな彼女が可愛

らしいと思っていた。

 怒られそうなので口には出さないが。

「次は、どこに行くの?」

「えっとね……」

 通称『暖炉の部屋』と呼ばれる一室に次女の

女性がいるのだという。

 何の部屋なのかとカインは美冬に問われたが、

上手く説明出来なかった。

 あの部屋は本当に何の部屋なのか、この国で長

年生きて来たカインにも理解が出来ないのである。

「とにかく、ライカ姉様に会いに行こうか。ちょっと

変わってるけどいい人だよ。セト兄様もきっと一緒に

いると思うよ」

 という訳で、二人は手をつないだままそこへ行く事と

なった。

 ちなみに、テレーズはマリオンとオリヴィアに呼び

出されてしまったので本当に今彼らは二人きりになって

いる――。



 『暖炉の部屋』は個人用の部屋ではない。

だから、通常はノックをする必要もないのだが、

カインは中にいる人物の事を知っているのでする

ように心がけていた。

 どうぞ、と女性の静かな声が響くのを確認して

からカインは美冬と共に中へと入る。

 美冬はやっぱり緊張しているようだった。

しかし、内部に入って最初に見た光景で目を

見張って黙り込んでしまう。

 そこには淡いルビー色の髪を腰より長く伸ばした

女性がいて、宝石のような同色の目で炎を一心不乱に

見つめていた。

 香ばしい香りが漂って来て、美冬はそれでようやく

彼女が串にさした何かをあぶっている事に気づく。

「……ライカ、よろしく……」

「あ、あの、私は相沢美冬、と申します……」

 ライカは会釈すると、それ以降は美冬を振り返らずに

美冬の世界ではチーズと呼ばれている物をあぶっていた。

 部屋に漂う美味しそうな匂いが食欲を生じさせ、思わず

二人の腹がぐぅ~と鳴ってしまった。

 ライカと名乗った少女の目が向けられ、美冬は赤く

なってしまう。

 カインも照れたように頭をかいていた。

「あ、俺セトです、よろしくミフユ姫!」

 と、流れ出した雰囲気を柔らかくするように第四者の

声が飛んだ。

 長い茶の髪を後ろで縛った青い瞳の少年である。

カインとはそこまで年が離れている訳ではないが、一つ

二つ彼の方が年上だった。

「セト兄様、おはようございます。ライカ姉様も……」

「……」

 ライカは返事をしない。

無視している訳ではなく、食べ物をあぶる作業に熱中して

いるだけなのだ。

 カインがもう一度ライカ姉様!と声を張ると、視線がよう

やくカイン達へと向いた。

「カイン、どうしたの?」

 ライカは少々風変りというか、天然な部分を持つ姫君

だった。

 元々は地方の貴族の娘だったのだが、王の養女として

王女になった彼女はいい意味でも悪い意味でもいつもマイ

ペースだった。

「あいさつしているんですから、返事くらい返してくだ

さいよ」

「お早うカイン……」

「一瞬だけ!? っていうかどんだけ食べたいんですか

姉様は……」

 一瞬だけカインを見たものの、次の瞬間にはライカは

チーズへと視線を移してしまった。

 分けてもらう約束をしたのだろう、セトの方も今にも

涎を垂らさんばかりな顔をしている。

 セトとライカ。二人の共通点は、多分に食い意地が

張っているという所だった。

 そもそも、彼らは十分に食べているのだ。

朝食も昼食も夕食も、ゆうにカイン達の数倍は料理を

食べる。

 それでも足りないのか、こうして作らせた『暖炉の

部屋』に入り浸り、いろいろな物をあぶっては頬ぼって

いるのだった。

「これ、何を食べようとしているんですか?」

「……チーズ。アベルにいにもらったから、セトと

一緒に食べようと思って……。カイン達も食べる?」

「似ていると思ったら、チーズだったのですね……」

 美冬は思わずごくり、と喉を鳴らしてしまった。

実は美冬はチーズを食べた事がない。

 両親が食べていたのをこっそり見た事があり、匂いを

嗅いだ事があるだけだ。

 とても美味しそうだったのを今でも覚えていた。

「あむ……」

 焼きあがったらしく、ライカはアツアツのチーズを

頬ぼった。

 熱いらしく、ん――!と叫びながらも恍惚の表情になる。

 あ、ずるい!とセトが声を上げたので、もう一本のチーズ

串を取ってライカはセトに渡してやった。

 セトも熱いチーズに悲鳴を上げつつ美味しそうに食べる。

「二人にも上げる……」

「あ、ありがとうございます……」

「ライカ姉様、ありがとう。でも、姉様が人にあげるなんて

珍しいですね」

「……食べ物の恨み、怖い……。覚えておくべし……」

「いや、覚えておくべしって言われても……」

 金色に輝いて見えるアツアツのチーズが突き刺さった串

からは、美味しそうな匂いが漂っている。

 息を吹きかけてから、カインと美冬はそれに齧りついた。

――すぐには声が出ないような美味さだった。

 とろ~りとしたアツアツのチーズはほどよく焼けていて

後味さえも素晴らしかった。

「それに、美味しい物、誰かと分け合って食べる、より

美味しい……」

 美冬は、無表情に戻って再びチーズを焼こうとする彼女に

好感が持てる気がした。

 と、扉が勢いよく開き、誰かが部屋に入ってくる。

「あ、ここにいたライカ姉さん! 仕立て屋さんもう

来ちゃってますよ!!」

「仕立て屋、呼んだっけ……?」

「もう、やっぱり忘れてた! ――昨日、仕立て屋さんが来る

から準備しててって言ったのに!」

 明るい茶色の髪を二つ結びに結った少女は、他の姉妹達とは

違いあまり華やかさがない娘だった。

 それなりに可愛らしい顔をしているが、他の姉妹と比べると

どうしても地味といえそうな顔立ちである。

「あ、あなたがカインの花嫁様?」

「あ、相沢美冬です……」

「あたしはシエリーナ。姫なんて滅相もないくらいの農民の娘

なんだけど、仲良くしてね? ――ほら、ライカ姉さん行き

ますよ!」

「チーズ……っ!」

 嫌がるライカを引きずるように、シエリーナと名乗った少女は

嵐のように唐突にいなくなってしまった。

 こうして、美冬は第四皇子、第二王女、第三王女とも対面を

果たしたのだった――。

 今回は四男と次女と三女との対面です。

四男は気さくな子、次女は淡々としてる

けど優しい子で、三女はしっかり者です。

 元農民の娘なので王女らしくはないの

ですが、可愛い子ですよ。

 次回はついに四女との対面ですね。

出来たら王様たちとも会わせたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ