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魔法大国の花嫁様!?  作者: 時雨瑠奈
惑う少女
1/33

プロローグ ~世界を呪う娘~

 このお話は以前「ルナ」のアカウントで

書いていた作品です。わけがありログイン

出来なくなってしまったので、時雨瑠奈の

アカウントで修正して書き直しました。

 盗作や二次創作ではありません。

 相沢美冬あいざわみふゆはかなり田舎の方に住む、世界を呪っている少

女である。

「世界が滅ばないかな」

 最低十回は呟く毎日だった。彼女は不幸体質である。

生まれた頃から不幸は始まっていた。

 なにしろ、人並み外れてみにくい相沢夫婦の元に、かなりの美

少女が生まれたのだから。

 相沢夫婦は美冬を愛さなかった。

それどころか、最初から娘などいないかのように振る舞っ

た。当然世話もしない。

 美冬は足音を立てる事も許されず、もしそれを破ろう

ものならムチで何度もぶたれた。

 泣いてもわめいても、彼らの気が済むまでぶたれた。

顔だけは、なぐられなかったが。

 彼らにもおかす事の出来ない物というのはあったのだろう。

それほど、長いつやつやと輝く黒髪と黒真珠のようにきらめく

瞳を持つ彼女は美しかった。

 頬は青ざめて見えるほどに白い。唇は薔薇バラのような色。

そんな彼女が生き延びてこられたのは、今はクビにされて

いないメイドが、こっそりと育ててくれていたからだった。

 その事がバレ、クビにされたが。

美冬という名も、彼女からもらった。

 彼女は娘を亡くしたばかりだったらしく、本当の娘のよう

に美冬を愛した。

 美冬のそばを離れる時も、ぼろぼろと涙を流して別れを

しんでいた。

 相沢夫婦は村長だったので、それ以来彼女は村人にさえ愛

してもらう事はなかったのだった。

 村人は、彼女をいない者のように扱っていた。

だが、彼女が村の畑や生けに手を出した時のみ、怒鳴どなり、

殴りつけた。

 村の子供達はそんな彼女に「遊んであげている」という大

義名分の元、嫌がらせをしていた。

 中傷ちゅうしょうするのはまだいい方で、蹴ったり殴ったり、いろいろ

なストレスのはけ口にしていたのだ。

 美冬は逆らわなかった。

ただ逃げただけだったので、子供達は増長ぞうちょうした。

 一枚きりしかない真っ黒い服を引き裂き、一足しかない木

靴に穴を開けたりした。

 美冬は体中痣あざだらけで、破かれた袖や裾から痛々しいほどの

あとがいくつも見えた。

 そんな毎日はいつまでも続き、そして十年の月日が流れた――。



 相沢美冬は、十五歳になっていた。

つやのある黒髪は腰まで垂れ落ちて波打つ。

 黒真珠のような瞳は大きく、頬は白く唇は紅をして

いないのに赤かった。

 彼女は草を煮ただけで何の味付けもしていないスープだけ

で生きているので、まるで病人のようにせ細っていた。

 子供達によるいじめはまだ続いていた。

体中の痣も、毎日のようにつけられるので決して治っていなか

った。

 本来なら輝くような肌の色は、お風呂を使えずしかも子供達

に泥の中でころばされたりするせいでくすんでいる。

「くせえよ、よるな、美冬!! きったねんだよ、お前!!」

「え~、ひっどーい。駄目ダメじゃーん、ホントの事言ったらさあ」

「お前の方がひでえっつの」

「きゃははははっ!! なんかいったらあ? 美冬ぅ」

 美冬は何も言わなかった。

悪口も何もかもどうでもいい。

 彼女の心は闇に縛られていた。

「なによ、その目」

「文句があるなら言えよ」

 どんっと、勢いよく美冬は突き飛ばされた。

地面に転がった彼女の後ろには、結構急なガケがある。

 立ち上がりかけてよろめいた彼女は、そのまま下に落下

した。

「きゃあああああっ!!」

「うわああああっ!!」

 悲鳴が上がった。もちろん、美冬の物ではない。

美冬を落とした少年達だ。

 いじめをしても悪いという考えはないが、何かを、

それも人を殺す、という事には抵抗ていこうを感じるらしい。

 その時、少年達の中に一つの考えが現れた。

埋めればいい、証拠を隠してしまえばいい、と。

 少年達は回り込んで崖下に行くと、美冬に土をかけ

始めた。

 その時、美冬は生きていた。

だけど、何か言おうとも、体を動かそうともしなかった。

 これで全てが終わる。私の酷い(ひど)人生は終わる。

美冬は土がかけ終わる頃、土の中で微笑んですら

いた――。

 不幸な少女の恋愛物語です。

以前別の名前で投稿されていた

作品なのですが、わけがあり名前を

変更する際に間を詰めたりして

リニューアルして投稿しました。



 

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