第44話:アクションの代償はベッドの上で。……殿下、カッコいい戦闘シーンの後にこの甘い居残り残業は、作戦計画にありません!
「……はぁ。状況把握、開始。時刻は午後八時。新婚十一日目の夜。私は今、昼間のドレス姿のままベッドの中央に押し倒され、髪を乱した夫に全方位からロックオンされている。注がれる紫の瞳の熱量は、過去最高値を記録。状況、自業自得とはいえ極めて甘い大ピンチね」
庭園で賊を8秒で殲滅した瞬間、ルファード殿下の瞳に灯った「未知のギラギラとした光」を、私の高性能な自衛官レーダーは正確に察知していた。
慌てて「今のはただの不審者排除(日勤)です!」と言い訳したものの、時すでに遅し。殿下は「我が皇太子妃のあまりの雄姿に、俺の理性が作戦終了(完全シャットダウン)した」と、私をお布団ごとではなく『お姫様抱っこ』で寝室へ拉致。
そこから数時間、一歩も部屋から出してもらえない監禁ルートへと突入していた。
殿下の長い指先が、私のドレスのレースやフリルを優しく、けれど確実に一枚ずつ戦略的パージ(解除)していく。
「アルティナ……本当に君は、俺の想像を遥かに超えてくる最高の女性だ。あの美しい身のこなし、容赦のない一本背負い……。思い出すだけで、君を誰の目にも触れさせたくないという独占欲が暴走して、胸が引き裂かれそうになる」
「で、殿下……状況把握を……っ! 昼間の戦闘は、殿下の身の安全(国益)を守るための正当防衛です! なぜバックアップに貢献した私が、夜の部でこんな高負荷な実技演習(お仕置き)を支給されなければならないのですか!」
私が裸同然の状態でシーツに沈みながら、真っ赤な顔で猛抗議する。
しかし、ルファード殿下はフッと妖艶に微笑むと、衣服をすべてパージした見事な胸板を私の身体にぴったりと重ね、逃げ道を完全に塞いできた。
至近距離から放たれる、いつも以上に余裕のない、男の剥き出しの熱情と色気。その圧倒的な質量に、私の心臓は最大戦速(大バクバク)のメーターを秒で叩き割る。
「君のあの強くて美しい姿を見て、俺の中の『肉食獣の野生』が完全に目覚めてしまったんだ。……責任をとって、朝まで俺の腕の中で、たっぷりその可愛い声をあげておねだりしてごらん?」
「んむ……っ、ん、ふゃ……っ」
抗議の声を上げる唇は、すぐさま熱い口づけによって完全に溶かされた。
一度開いた殿下のヘキ(情熱)の包囲網は、まさに手加減なしのフルインフレ。いつもなら15手先を読んで優しくエスコートしてくれる天才が、今夜はただ貪欲に私を求め、何度も何度もシーツの海へと溺れさせていく。
(おのれ肉食獣上司ーーー!! 賊を倒して身体を動かしたからって、その体力を一滴残らず夜の残業でインフレ回収するのをやめてくださいーーー!?)
頭が良すぎる私は、自分がどれだけ強くあろうとも、この夫の底なしの愛の掌の上からは一生戦略的脱走が不可能なことを秒で看破し、心地よい快感の中で涙目になるのだった。
こうして、新婚十一日目の夜は、自ら披露したアクションの代償として、皇太子殿下の「野生全開・無制限総攻撃」によって、朝が来るまで激しく甘く蹂躙され続けるのだった。私のものぐさスローライフへの戦線は、夫の愛の深さによって、今夜もベッドの上で跡形もなくとろかされていく。




