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結婚する気じゃなかった妻に恋をした。かなり重症  作者: はるくうきなこ


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6なんか間違った気が‥(チャーチル)


 俺は気まずい思いで玄関に出た。

 俺は見送りに出た母とグレイスにもう一度「行ってきます」と言った。

 「いってらっしゃいませ」「チャーチルお父様を頼んだわよ、行ってらっしゃい」

 きれいな水色のワンピースが玄関を出て見上げた空の色と同じだった。

 朝の澄んだ空気を吸い込んだみたいなきれいな空の色。俺は真っ青な青色よりこんな優しくてきれいな青色が好きだったとその時思い出した。

 女に見送られてこんな気持ちになるなんて‥それに朝食に来たグレイスの何て言うか戸惑いや恥ずかしさが入り混じって何とも言えない。ああ、妙に胸がざわつく。

 父さんや母さんへの接し方だって柔らかで好きだ。

 あれ?カトリーナの時とは全然違うな。


 ふと数年前の記憶が嫌でも蘇った。

 カトリーナとは学園が同じでその頃の俺はモテた。いろんな令嬢から声を掛けられた。ふっと見つめれば頬染める幾人もの令嬢がいてそんな中一つ下のカトリーナ侯爵令嬢はいつも俺の一番そばにいた女だった。

 他の女を目力で牽制し、男爵や子爵令嬢などはお呼びじゃないとばかりに蹴散らした。

 まあ、俺も嫡男として女性への距離をと持つように厳しく言われていたので間違いを起こす気はなかったが、カトリーナには感謝すらしたもんだ。

 いつもそばであれこれと世話を焼いてくれるカトリーナとの距離はいつしか縮まって行った。そして婚約が決まり学園を卒業して22歳の時結婚した。

 俺はカトリーナは俺にべたぼれだと自負していた。

 だが、結婚してカトリーナの態度が豹変した。

 初めての夜、俺は女が初めてで、そこはカトリーナも同じだと思っていたが違った。まあ、それでも何とか一つになったって感じだった。

 翌朝、両親と食事をと誘われたけど、カトリーナは”新婚の初夜の翌朝に起きて食事を一緒にですって冗談じゃないわ。チャーチル、あなたが妻に朝食を持って来るのが当然じゃない!全く、そんなの常識でしょう?”って言って俺は急いで食事をベッドに運んだな。

 最初は初々しい姿を装っていたがだんだん回を重ねるうちにカトリーナはやり方がワンパターンだとか感じないとか、下手だとか言うようになって。

 元々金髪で琥珀色の瞳でゴージャスな雰囲気の女だったが、閨がうまく行かなくなると派手なドレスにひときわ目立った宝石、お茶会と散財ずくしを始めた。

 挙句に招いた令嬢へのあからさまな暴言やありもしない言いがかり。

 俺に対する態度も180度変わった。

 ねだっても金がないから買えるわけがないと言うとクズだとか騙されたとか結婚するんじゃなかったとか。

 挙句に護衛と浮気。両親もうんざりしていた。

 思えば最初からカトリーナは手慣れていた。俺は彼女が初めてで何も気付かなかった。

 そして散々ダメな男だと罵倒され続けた俺のあそこは反応しなくなる始末。離縁してよかったし二度と結婚なんかと思うだろう。


 それなのに父は資金援助をしてもらうために結婚しろだなんて。

 相手はオーブ子爵家の令嬢。彼女はきっといきなりの事で探りを入れるつもりだったのだろう。グレイスはあの時変装までしていたなんて。

 最初は嫌な気分だったけどよく考えれば当たり前だろう。一度もきちんと顔合わせも行かずデートもしなかったんだからな。

 おまけに俺はまんまとそれに乗って。

 まあ白い結婚は俺の身体が反応しないんだからちょうど良かったんだが、何か間違った気がして来たんだよな。

 お互い干渉や詮索はしないとか表向きに夫婦を装うなんて。

 結婚式の時のグレイスも可愛かったけど朝見た時の彼女も清楚で可憐っていうのか?

 何だかすげぇ可愛い。

 俺の胸の内にはそわそわした気持ちが渦巻いた。

 

 わが家の馬車に乗る前に侍女のメイアが走り寄って告げた。

 ”旦那様、グレイスは亡くなった婚約者に送るつもりだったペーパーウエイトを今でも大切にしていらっしゃいます”

 なんだ?意味深な事を。

 それってまだ婚約者だったレイブルってやつが忘れられないって事なのか?だから白い結婚でいいと?

 不安が胸に渦巻く。

 いや、グレイスは俺と結婚したんだ。

 そうだ。帰りに何か土産でも買って帰ろう。そして少しずつ距離を近づけて行こう。あんなの書類の上でのことじゃないか。グレイスだって俺が歩み寄ればきっと‥‥。

 勝手なふるまいをした事は種に上げて俺の気持ちは変わって行った。


*~*~*


 ダーレム伯爵家は、父が留学中に紙を作る技術を学び大陸から伝わって技術をいち早くこの国に取り入れた。

 領地にはたくさんの森があり原料となる木がたくさんあった。それを伐採して機械で紙にしていく。

 今までは羊皮紙しかなかった市場に新しい革命が起きた。注文は殺到してあっという間に領地の森は裸になった。そして隣国から木を買い付けた。ダーレム商会は大きくなりそして大金持ちになった。

 それが俺が学園に入る頃だった。

 だが、隣国も新たに紙を作る技術を取り入れ始め木の買い付けが思うようにいかなくなった。もちろん領地には新たに木を植えて育ててはいるが何しろ時間がかかる。

 こうしているうちに他国の紙が入って来るようになり市場価格が暴落した。これでは採算が取れないと父は印刷機を導入したが、それがうまく回らず資金が底をついた。

 そしてオーブ子爵家に婚約の打診をして今日に至ったわけだが、俺は間違ったのか?

 







 

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