15二度目の誓い(最終話)
チャーチルはビシッと立ち上がり姿勢を正した。
「もちろん全面撤回でお願いします。白い結婚も出来ればなしで、あっ、俺努力します。チャーチル・ダーレムはここに誓います。夫婦仲良くお互い愛しみいかなる時も助け合い生涯を共にすることを今ここに誓います!だから」
チャーチルが右手を上げて声高らかにそう宣言した。
「お前それはグレイスがそれを承諾してからだろう?ったく。グレイスどうなんだ?」
兄さんは呆れたようにあんぐり口を開けそして私に尋ねた。
「はい、私グレイス・ダーレムは夫チャーチルをいかなる時も慈しみ愛し共に助け合って行くことを誓います」
「まったく、お前ら、その言葉教会でも言ったよな?今度こそ間違いはないんだろうな?」
「「はいっ!」」
ふふ。私は自然と笑みがこぼれる。
チャーチルの顔もほころんでふたりで笑い合う。
私、きっと幸せになれる。そんな気がした。
「まあ、今回はグレイスのけがも大したことなかったしふたりの気持ちもはっきりわかったからな。但しチャーチル、妹を泣かせたらただじゃ置かないからな」
兄さんはチャーチルにぐりぐりげんこつをしている。それを笑いながら受け止めて「はい、約束します」と宣言した。
それから1年ほどして私は妊娠した。
あれからチャーチルはいろいろな本を読み漁っ足り精力のつく食べ物を食べたり。
でも、私に触れたいって言いだして、それで私は覚悟を決めて裸になってチャーチルの愛撫を‥
私、初めてなんですよ。それなのにチャーチルったらあんな事やこんな事を。
すると彼のあそこが立ち直って。勃起したんです。
そう、私に触れたら不能が治ったんです。そのまま初夜に突入して。
もう、それからは今までの分とか言って激しいったら‥
それでめだたく妊娠。
両親はそれはもう大喜びでそれまでにもまして大切にされてます。
仕事の方も順調で、今度は赤ちゃん向けのものをってただいま思案中なんです。
チャーチル様は絵本の出版をやるって張り切ってます。
父は忘れっがちになりながらもイザリーナ様がすごくよくしてくれて幸せに暮らしてます。
後は兄の結婚が、まあ、兄さんは気ままがいいって言ってますけど。早くいい人が現れて欲しいと思ってます。
「あっ!チャーチル‥お腹が…生まれるかも」
「おい、グレイスほんとか?大変だ。すぐに医者を呼ぶからな、俺が付いてる安心しろ。おい、誰かいないか?グレイスが生まれそうだ!!」
チャーチルは大慌てで家中を走り回ってへとへとになって。
もう、一番大変なのは私なのに。
「チャーチル。もういいから私のそばにいて‥うぐっ!いたっ‥」
「グレイス大丈夫?いや、大丈夫なわけないな。ごめんな痛いの代わってやれなくて‥」
彼の手は震えていて、そっと私の乱れた髪をなおしている。汗をぬぐいぎゅっと手を握りしめられたり、痛みが引くとそっと涙がこぼれた眦にキスをしたり。
痛みは変われないけど、そうやって寄り添ってくれるチャーチルに胸が熱く‥
「ああっ!っ。い、たい!いたい。いたい。いたい。もぉ!チャーチルなんかきらいよ。こんなに痛いなんて!」
さっきの言葉取り消し!やっぱりこんな思いをすればいいのよ!!
「グレイス、しっかり俺が付いてる」
「誰のせいよ!もう、こんなに痛いなんて!!ああ‥」
「ああ、神様。お願いします。今すぐグレイスと私の身体を入れ替えて下さい。痛みは全部私が引き受けます。どうか、神様‥愛してるグレイス‥」
「あぁ、チャーチル。あなたって‥」
彼の優しさに胸が熱くなったり‥
そうやって長い長い陣痛が‥
そして20時間後、やっと生まれた。
「おぎゃあ。おぎゃあ!」
「はぁぁぁ、元気な赤ちゃん。よか‥」
元気は産声を聞いた瞬間私はぐったりして目を閉じると「おい、ぐれいす!しっかりしろ!目を開けてくれ!!」
重い瞼を上げるとチャーチルの顔が。彼が死んだようにぐったりとしている。
「グレイスに何かあったら生きていられない」
「生きてますよ。赤ちゃんは?」
「ああ、元気な男の子だ。ほら、君にそっくりだ。女を泣かせそうだな。ちゃんと教育しないと」
「チャーチルにだって似てるわ。ほんと女を泣かせそうね」
赤ちゃんはチャーチルによく似て金髪で紺碧色の瞳だった。
ちらりとチャーチルを見る。
「グレイス。俺はお前一筋だからな。この子もきっとそんな男になる!」
「ええ、愛してるチャーチル」
「俺も愛してる。疲れただろう、ゆっくり休め」
「ええ、私すごく幸せ。あんな契約したのがうそみたいね」
「ああ、ばかだった。あれは人生で最大の過ちだった」
「でも、白い結婚って言われなかったら私あの結婚断ってたかも‥だっていきなりの顔合わせで滅茶苦茶冷たくて嫌な印象だったのよ。あのまま夫婦として交わるのかと思ったら絶対断ってたわよ」
今では信じられないけど、確かにそんな印象だったものね。
「そうか?じゃ結果オーライだったって事か」
チャーチルは柔らかな微笑みを浮かべる。翡翠色の瞳を優しく細めて。
「ええ、お互いを知るには時間が必要だったのよ」
「ああ、じゃ、まだまだ俺を知ってもらわなきゃな。一生をかけて」
私はふっと微笑んで心から安堵してゆっくり眠りについた。
私の手はずっとチャーチルに握られたままだった。
~おわり~




