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ブレイバースタリオン うっかり抜いた聖剣をレプリカと信じる田舎の青年、勇者学園の教師となり女子生徒たちと修羅場ライフ  作者: 猫屋犬彦
二代目勇者包囲網

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第14話 夜にお散歩する勇者

(*´∀`*)おぱようございみゃふ!

「⋯嘘だろ?」


 起きたら夜になっていた。

 しかも自分が枕にしていたのはコヨミの胸だ。


「⋯スゥ⋯スゥ⋯せん、せぇ⋯」

「⋯ごくりっ⋯」


 レイヴンは緊張感から生唾を飲み込む。

 コヨミは何故か半裸だった。

 制服に袖は通しているがブラウスもブラも開いていて巨砲がポロリ状態。

 女子生徒の生乳に顔を埋めて寝ていた事に目眩を覚える若き男性教師。

 コヨミの下半身を見ると、スカートと靴下は身に着けているみたいだが一番大事な物を穿いていない。


(なんかスッキリしてるな)


 焦燥感は有るが頭はスッキリしてる。

 随分久しぶりに熟睡出来たらしい。

 念の為に自分の下半身をチェックしてみたが特に異常は無い。

 此方はちゃんと穿いている。


「⋯⋯⋯⋯はぁ〜〜〜⋯」


 思わず安堵の溜め息が漏れる。

 レイヴンはコヨミを起こさない様に気を付けながらベッドから抜け出す。


「⋯ふにゅん⋯むにゃむにゃ⋯」

(ジェラと云い、なんでこう、年若い娘が⋯。猫かよ、コラ)


 レイヴンが悪戯仔猫コヨミちゃんのほっぺをぷにぷにする。

 アンジェラートもレイヴンのベッドにしょっちゅう潜り込んで来るのだ。

 風呂に突撃して来た時はキチンと追い返してはいる。

 ジェラ本人は小さい頃から一緒に入ってたもん、一緒に寝てたもん、と主張して来るのだが。


「⋯散歩に行こう⋯」


 半日まるっと爆睡した為に目が冴えてしまって眠れない。

 それにコヨミとこれ以上同衾する気も起きない。

 男子寮から出てぷらぷらと歩く。

 スマホは部屋を出る前にキチンとコネクタにセットして来たので持っていない。

 迷わない様に自分の位置と校舎等を確認しながら夜の学園内を歩く。

 そうしていたらバッタリと出会った。

 出会ってしまった。


「此れは此れは、レイヴン殿」

「カグラ」

「良い夜だな。月が綺麗だ」

「そうだね」


 綺羅綺羅と月明かりが降り注ぐ下に美しい少女の姿が在った。

 大人びたカグラが月明かりを浴びていると、とても幻想的に見える。

 腰に佩いた曲刀がやや物騒であるが、刃物の所持は実は割と一般的だ。

 そもそも魔法と云う凶悪なツールが存在するのだ。

 身体強化は幼児でもスーパーパワーを発揮する。

 魔力制御の出来ない産まれたばかりの赤ん坊が、周囲を瓦礫の山に変えてしまう事だってある。

 魔力が少ない筋骨隆々の大男より、魔力が膨大な幼女の方が生物として強いのだ。


「カグラは何してるの?」

「月光浴だ。私は陽の光よりも月の光の方が好きなのでな」

「そうだね。綺麗だよ、カグラ」


 レイヴンはカグヤを見て素直に褒める。

 結婚云々は置いておいて、自分が感じたままを伝える。

 そんな誠実と云うより馬鹿正直な所に苦笑するカグラ。


「ふふっ⋯褒めても何も出んぞ?それとも口説いているのか?先生?」

「先生を誂っちゃ駄目だよ」

「失礼した。二代目勇者レイヴン先生殿」

「長いなぁ、先生で良いよ」

「夫をそう呼びたくはないな、レイヴン殿」


 戯れる様な会話だが、割と楽しい。

 距離感が楽だ。

 自分の貞操を強引に奪おうとして来るプリム。

 首輪と鎖で特殊なプレイを求めて来るコヨミ。

 ヒステリックに叫ぶ年下の幼馴染。

 言葉だけで結婚だの夫だの言ってるだけのカグラが、相対的にまともに見えてしまう。


(このぐらいの世間話なら良いのかな?)


 カグラやプリムと偶然出会って多少会話するぐらいなら許容されている、らしい。

 ちなみに男子寮の壁を猫の様に引っ掻いていたりレイヴンを出待ちしていたプリムは、生徒会と風紀委員会に捕まり、今は泣きながら反省文を書いている。


「レイヴン殿、変わりないか?」

「ん?何が?」


 カグラの目が細まる。


「何、決闘までは私とプリムはレイヴン殿に接触出来ない。その間に別の誰かが割り込もうとする可能性はまぁまぁ高いからな」

(ぎくり)


 今レイヴンの部屋では悪戯仔猫ちゃんがスヤスヤと眠っている。

 特に疚しい事は無い筈なのだが、後ろめたさを感じてしまうレイヴン。


「⋯まぁ、もしも第三者が渦中の男を寝盗った場合、私とプリムの二人に粛清される」

「粛清て」


 確かに校則に有った気もするが、物騒な単語である。


「生徒会や風紀委員会も動く」


 カグラは以前、決闘システムを悪用した乱入を試みた事が有った。

 男ではなく学食のプリンを賭けた戦いであったが、当事者二人が決闘を始めた時にわざとそのプリンを食べ、怒らせた二人に同時に襲い掛かられ返り討ちにした。

 大乱闘に発展した為に生徒会や風紀委員会が制圧に乗り出し、流石にカグラも取り押さえられてしまった。

 その後一週間プリン禁止処分を受けてしまう。

 生徒会や風紀委員会にはカグラより強い者も居るが、彼女達の強さは権力に結び付いている。

 生徒会長や風紀委員長に決闘を申し込んでも受け入れて貰えないだろう。

 そして決闘は申し込まれた側がある程度勝負方法やルールを選べる。

 しつこく食い下がった結果、生徒会メンバーとの決闘に漕ぎ着けたが、勝負は定期筆記試験の点数勝負にされてしまう。

 カグラも地頭は良く勉強を頑張ったが今一歩及ばす。

 敗けたカグラは一週間の奉仕活動をする嵌めになる。

 校則や常識を学ぶ内に、高位貴族に敗北は許されない事を知る。

 一応貴族位を持つカグラではあるが、その常識は欠如していた。

 強者や猛者は居るが、誰もカグラ等相手にしない。

 彼女達が持つ剣は、カグラのそれとは意味合いが違う。

 彼女達の剣は、部下や国民を守る為の騎士の剣。

 カグラの剣は、己一人が個を極めんとする求道者の剣。

 自分よりも強い者が居るのに自由に挑めないもどかしさ。

 故に勇者学園は自分の居場所ではないと、カグラが見切りを付ける事に至ったのである。


「ふふ、もしもこの期間にレイヴン殿に手を出す様な命知らずが居れば斬ってみたいものだが、な」

「はははは、は」


 今この時点でレイヴンに手を出すと云う事は、プリムやカグラだけでなく、生徒会や風紀委員会をも相手取る自信が有ると云う事だ。

 上記の様に貴族は敗北を許されないし、学内に混乱を齎すのを嫌う。

 プリム、カグラ、生徒会、風紀委員会を退ける様な者が現れた場合、教師陣も乗り出して来る。

 最強格である学長をも倒せる者が居れば、最早学園はその者の独裁政権となるだろう。

 実は校則にも是を肯定するものも有る。

 力こそ全ての初代勇者時代のものだ。

 全てを倒せば勝者が正義となる。

 只是は一度も達成されはしなかった。

 勇者パーティーが存命の時は彼女達が制圧に乗り出せば終わるからだった。


「⋯うぅん⋯むにゃむにゃ⋯あんっ、先生⋯そんなに吸っても⋯出ませんから⋯」


 主不在の部屋にて一人、平和にゴロゴロする仔猫ちゃん。


(⋯コヨミの事を知られたら、コヨミが危ないって事?)


 散々迷惑を掛けられてる相手をも心配してしまう、お人好しなレイヴン。

 しかし、その心配は本当に必要だろうか?

 初代勇者時代とは比べるべくもないが、現生徒会や現風紀委員会も相当な戦力である。

 是を撃破出来る自信が有る者など、それこそ本当に命知らずか―――本物の強者だけなのだから。


「まさか昨日の今日で、違う女子を連れ込んで等、してはいまいな?夫殿?」

「ソ、ソンナコトハシテイナイヨ?」


 彼のベッドには悪戯っ子の仔猫ちゃんが寝てるだけである。

 猪突桃進娘や歩く人斬り包丁を同時に相手取り、更に武力介入して来る生徒会や風紀委員会をも抑えて勝利出来る者等、学園で数える程しか居ないだろう。

 もしもそんな大物が出てくれば、生徒会や風紀委員会だけでなく、教師陣も戦略的撤退をする筈である。


(もしもそんな者が居れば斬ってみたいのだがな⋯)

「私は斬りたい」

「え?」 


 何だろう?

 試し斬りかな?

 巻藁とか、魔法で動く練習用の人形とか?


「プリムも斬りたいが⋯」


 人間でした。


「レイヴン殿を、二代目勇者と云う化け物を、斬ってみたい」

「えぇ⋯」


 斬られるのは痛そうである。

 血もいっぱい出そうだし。

 それに夫を斬るってどう云う事?

 DVだろうか?

 ヤンデレ?

 

(今の子ってちょっと解らないな)


 レイヴンはカグラなりの愛情表現なのだと解釈する。

 実際は斬った上で介錯しようとしてる事等欠片も思わない。

 レイヴンの戸惑った顔を見てカグラが安心させる様に笑う。


「案ずるな。貴殿を斬る前に愛しい夫の子種は孕んでやる」


 己の血を遺せぬのは不憫だろう。

 斬る前に子供ぐらい孕んでやるつもりだ。


「違うそうじゃない」

「ふふ、まぁ楽しみにしていろ。私も楽しみだ」


 何か決定的なすれ違いを感じてレイヴンは首を横に振るが、カグラは構わず立ち去ってしまう。

 決闘迄後⋯六日。


(どうにか無かった事に出来ないかな⋯)


 スッキリした頭でも上手い解決策等思い付かない。

 モヤモヤを抱えたままレイヴンは自室へと帰る。


「ただいま⋯」


 誰も居ないのに挨拶してしまう独身者の虚しい声に⋯


「⋯お帰りなさい⋯あ・な・た⋯」

「起きたんだね。そしてまだ帰ってなかったんだね」


 裸エプロン姿のコヨミが出迎えてくれた。

 勿論鎖付きの首輪は装着したままだ。

 裸エプロンの女子生徒に首輪と鎖。

 完全アウトである。


「⋯はい⋯」

「何故俺に渡す?」


 コヨミは首輪に繋がる鎖をレイヴンに手渡す。

 未だにコヨミのターンは続いていたのであった。

(*´∀`*)お読み頂き有り難う御座います!

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