とある主人公の苦悩
初投稿です。
突然だがバタフライエフェクトというものをご存知だろうか。
それは蝶が羽ばたいた微風が世界のどこかで嵐を起こすと言うものである。
まさしく今この場で、ただの高校生である俺を取り巻く環境を変えるであろう、一つの選択肢に迫られていた。この選択の結果で俺の一日はきっと変わってしまうのだろう。
そう、朝ごはんについてである。
「母さん!?今日に限ってどうしてそんなに手間がかかった朝ごはんなんだい!?」
「だってあなた、今日は大事なお仕事でしょう?精を付けて頑張らなきゃ。それに明日はおやすみでしょう?うふふ。」
「か、母さん!?」
だ、だめだ。俺の分の朝ごはんはおそらく出来ていない。そうなると不慣れな手際でサクッと食べられるものを作り食べるとして…三十分から四十分ほどだろう…。遅刻ギリギリ、ともすれば遅刻か………。
現在の時間は六時半。高校までがドアtoドアで一時間強かかることを考えると朝ごはんはしっかり食べたいが……。
しかし遅刻をすると生活指導を担当する風紀委員長に呼び出されて指導されてしまう。風紀委員長は学校生活ではあまり煩くないのだが、こういった呼び出しの機会があると嬉々として俺のことを呼び出す。職権乱用もいい加減にしてほしい。
それに一度呼び出されるとネチネチと細かい事まで言及される。最初は五分で済む話が十分、二十分、三十分と延びていき、終いには強制下校の時間まで口撃される。怒りっぽいのか顔を赤くしたり、反転顔を青くして何かに怯えたりと情緒が不安定だ。
そんなジェットコースターのような情緒を持つ女性を上手くいなせる自信は無い。
ここはご飯を食べないで登校するべきか…?
朝の七時、こんなに早く登校してくる変人なんてきっと俺ぐらいだろう。
そう、早く登校しておにぎりやパンなどをコンビニで買うのだ。そして教室で食べれば……いや待った。変人いたわ。
朝早くから登校し、空気が薄いとは言えじっと俺のことを見つめてくる女子が。何を考えているのかは分からないが、とにかく俺のことを見つめ続けてくる。本を手にもっているからきっと普段は本を読んでいるのだろうが……。だが俺が投稿するとずっと俺を観察し、そして何かに納得したようにメモを取るのだ。そして目が合うと顔を真っ赤にして見ていないフリをする。
………これは気まずいな。
そうなると学校の中庭で食べてから……いや、ここはウチの担任であるロリ教師が猫と戯れている場所だ。飯なんて持っていったらきっと猫たちを怯えさせてしまう。
そうなりでもしたら………ウチのロリ教師が、責任を取れと言わんばかりに俺を構い倒してくるのが目に見えている。中庭の猫たちも俺が怯えさせているせいか、ロリ教師と俺のやり取りをを植え込みの影から観察しだすのだ。ひとしきりロリ教師が俺のことを構い倒して話すことも無くなる頃、必ず何かをいいたそうに俯くのだ。
そうなるとようやく猫が植え込みから出てきてロリ教師を慰めに来る。ほぼ必ずこうなる。
正直に言うとロリ教師が何を言うのをためらっているのかは分かっている。
猫と戯れたいから来ないでくれとでも言いたいのだろう。それもそうだ。人間のガキとも雄とも言えない反発を相手にするより猫の方が戯れていてよほど楽しい。
そうなるとどうする……考えろ俺…!
学校をサボる……か?たまにはいいだろう。特に理由もなくサボる。母さんもきっと反対はしない。というのも寝る前に今日は家のことを全て済ませ、明日起きるのが遅くなっても良いようにすると話していた。そして『手が足りないわぁ。』と嘆いていた。非常に嫌だ。皆まで言われていないがどこに親同士の円満の手伝いをしたい男子がいるだろうか。いや、いない。
こうなると……学校をサボって街中に出かけるか?
ここはそこそこ娯楽が少なく、そこそこ人が密集してる住宅街だ。そうなるとチェーン店なんかは無く、幼馴染の両親がやっている喫茶店などになってしまう。
そこは放任主義で幼馴染がコーヒーを極めるなどと謳っているが、学校そっちのけでコーヒーの研究をしているのは果たしていいことなのだろうか?
最近はコーヒーに合う食べ物を試作と言って出してくれる。試作のケーキはコーヒーにも合うのだが、俺がとても好きな味で美味しい。幼馴染はいい奴だ。
性格的には男勝りで、泣かされまくったトラウマがあるのだが…。
しかし彼処に行くと幼馴染が学校の勉強よりも難しい勉強をニコニコ顔でさせてくるのだ。なんでも、自分が勉強しない分勉強してほしいのだとか。横暴である。そもそもが俺にやらせようとする勉強を解説しているのが幼馴染なのだ。俺よりもよほど勉強ができるだろお前。
まぁ美味いと言うと喜ぶし、この味好きだと言うともう一度言ってくれと頼まれるので可愛い所はあるのだ。なぜかスマホのマイクを向けながらニコニコ顔でもう一度と言われるので不思議だが。
そもそも喫茶店に学校サボって来ても何も言わないしお金も取らないマスターは大丈夫なのだろうか?
放任主義にも限度があると思うが…。
まぁ恐らくはここにいけば朝ごはんは保証されるだろう。その代わり大学の範囲の勉強をさせられる羽目になるのだが…。
クソ、俺は何を選べばいちばん幸せな今日になるんだ!!六時半を指す時計を見ながら心のなかで叫んだ。
まだ蝶の羽ばたいた風は吹いていない。