永久不滅
幸運な事に日本共和国はその後大きな戦乱に巻き込まれる事は無かった。強大な軍事力と政治力をバックに繁栄した。対外武力侵攻をする事もなく、思うままに国際政治の中心であり続けた。
日本共和国が崩壊したのは、それから300年後の事であった。膨らみ続けた財政赤字と国民の不満が爆発。結果として、その強大な力をコントロールしきれなかった事は確かであるが、それでも世界の歴史に多大なる影響を与えたのは事実であった。
その日本共和国が躍進のきっかけの戦いがこれまで紹介してきた大米帝国との戦乱であった。完全無欠の勝利で犠牲者も最低限に抑えた。世界史上最も犠牲者の少ない一方的なワンサイドゲームとなった。
しかし、一つだけ問題点がある。これだけ完璧な勝利を得たにも関わらず日本共和国は大米帝国に何の見返りも求めなかった事であった。普通戦勝国は敗戦国に対して賠償金や領土の割譲等を求めるのが通例である。
だが、日本共和国首相で全権大使の田野島香気は一切そうした政策をとらなかった。寧ろ敵に塩を送る位の太っ腹で大米帝国の復興を加速させ、再び国際政治の表舞台へ復帰させた。それが結果として、日本共和国の地位を確固たるものとしていたのだから、政治の妙と言うべきものだろう。
笹尾秀星の様な下ッ端の人間には、その様な国の政策がどうとか、マクロ的な視点で物を考える意味はない。目の前の生死に必死な非常にミクロ的な存在である。それはこれからも変わる事の無い不変の原理であるだろう。
日本共和国の後に出来た国家の名前は大和国。その新国家に一体どれ程の日本共和国のDNAが刻み込まれているのかを考える事は容易い事であった。この新国家も世界に存在する全ての国家に言える事は只一つ。いつまでも永久不滅な国家等無い。そして時代と共に国家は人々と供に変わって行くのだ。 完




