第5章~貴方は最愛の人の為に死ねますか?~
同時進行で行われるファイブスターが成功するかしないかと言う議論があっても良かったが、屋良元帥の試算では成功率51%だった。本当に僅差ではあるが、成功が失敗を上回る。そんな程度のものであった。それほど大米帝国の実力があると言う事である。
そもそも、セブンスターズとインディガーディアンズの両方を機能不全に陥らせるだけでも、大金星に値するものであった。それから更に大米帝国陸軍を制圧しようと言うのだから、成功率51%は納得の行く数値ではある。ただ、ここまで来てしまった以上日本共和国軍に敗北は許されない。恐らく、ここで大米帝国本土を制圧出来なければ、二度とチャンスは巡って来ないだろう。チャンスはこの一度きりだ。
大米帝国の主力部隊は陸軍と海兵隊である。兵力・兵器の質・兵器の量どれをとっても決定的な差はない。ではどこで差別化していくのか?答えは兵士一人一人の個人能力つまり、マンパワーで差別化する他ない。日本共和国軍が、ここまで快進撃を続けてこれたのは、マンパワーで大米帝国を凌駕していたからである。兵士のクオリティーこそキーポイントであり、王道であった。どんなに優秀な兵器を持っていても、扱う兵士がザルであれば意味がない。
軍隊を表す言葉で練度と言う言葉がある。訓練の度合いはどれ程のものかを示す言葉であるが、練度の高い部隊こそ、戦場で力を発揮する事が出来るのである。練度管理が徹底しているのは、共和国軍の特徴である。それ故実戦を重ね練度を高める。今の共和国軍首脳はやって見なければならないと言う意見が大勢だったのかもしれない。試算表を元に屋良元帥は勝算が有る限りここまで来たら引き下がれない事を、幹部に指示したのである。




