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戦場のホスト  作者: 佐久間五十六


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37/50

勝負所

 背尾はC地点にいた。だが彼はもうこの世の人間では無かった。何故ならば背尾は孤立した他の兵士を逃がす為一人、殿(しんがり)を引き受けていたからである。軍刀三等軍曹はそれを許さなかったが、ここで部隊を全滅する事は避けねばならぬと、背尾は命をかける覚悟を腹に決めていた。

 時は無情にも流れて行く。幸い落伍者は背尾只一人であった。残りの99人のゼロワン兵士は、任務を遂行して、バラードスオブキングダムから離脱した。その10分後ゼロワン小隊長は起爆スイッチを押した。勿論、背尾には申し訳無いと言う気持ちで胸一杯であった。

 ドゴスコーン!!!

 これにより大米帝国の最新鋭原子力空母は太平洋の海の藻屑となった。他のゼロナンバー小隊も合計5隻の原子力空母を爆沈させる事に成功していた。あとは、大米帝国海軍大西洋艦隊インディガーディアンズと、太平洋艦隊セブンオーシャンズの残党以外には、目立った脅威は無くなった事になった。空母を排除した事で、世界の制海権をほとんど支配して、この不毛な戦争の結果にダイレクトに影響するのに違いはない。

 まだ、手付かずの大西洋艦隊インディガーディアンズの方も、日本共和国海軍の精鋭部隊ムサシコジロウがゼロナンバー小隊と同時並行作戦を展開して、戦果を上げていた。ムサシコジロウは共和国海軍の最強の特殊部隊であるが、規模は500人余りだが、日本海の荒波で訓練された精鋭達の実力はゼロナンバー小隊と同等かそれ以上のポテンシャルとアビリティを持っているとされる。

 何はともあれ日本共和国海軍は永久不滅とされてきた大米帝国海軍から制海権を奪い取った。あとは、大米帝国本土にいる兵力200万人の大米帝国陸軍を葬れば、日本共和国の勝利となる。しかし、この勝利で日本は何をどうしたいのか?と言う事を日本共和国首相田野島香気以下共和国国民は考える必要があった。仮にも少なくない犠牲と資源を使っているのだから。

 只、圧倒的優勢とは言えないほど大米帝国陸軍は脅威であった。空軍や海兵隊もまだ、手付かずであった。ここからが、勝負所であり日本共和国軍の真価が問われてくるのである。

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