原子力空母バラードスオブキングダム
作戦に参加する部隊の詳細情報が軍刀三等軍曹からゼロワン部隊にもたらされた。これによると、作戦に参加するゼロナンバー小隊はゼロワン~ゼロファイブとゼロテンの6個の部隊であり、護衛は日本共和国海軍の最精鋭艦隊である第1艦隊+第2、第4潜水艦隊+駆逐艦60隻及び哨戒機300機と空母カムシングレラガムと言う大戦力であり、これ以上は出せない程の陣容であった。秀星は思う。
「これだけの護衛がいて失敗したら日本共和国は終わりである。」
と。そしてゼロワンの任務は大米帝国海軍の誇る最大最強の原子力空母バラードスオブキングダムの制圧及び破壊であった。これにはゼロワン所属の兵士は全員沈黙した。
バラードスオブキングダムと言えば、軍事知識の無い人間でも一度は聞いた事がある程有名な艦船であった。しかし、臆した訳では無い。逆に戦意はあがった。これだけの艦船を沈められると言う事は自信になる。
無論、危険はある。人員の数もそれなりに割かれており、大米帝国海軍としてもバラードスオブキングダムに護衛をつけないわけにはいかなかった。もしかすると近付く事すら出来ない程の防衛態勢がしかれているかもしれない。軍刀三等軍曹は、以下の様なメッセージを作戦の前に訓示している。
「バラードスオブキングダムは大米帝国海軍の顔だ。それを破壊するのが、俺達の役目である。この艦船がもし、我々によって沈められる様な事があれば、奴等のプライドはグシャグシャになるだろう。それがゼロワンの任務だ。だがこの任務を達成するのは簡単ではない。しかし、厳しい訓練をこなしてきた君達に出来ない事は無いだろう。今までの訓練を思い出せ。このゼロワンに配属されていると言うプライドを胸に、今こそ我々日本共和国軍の力を大米帝国に見せつけてやるのだ!」
すると、大きな雄叫びが上がった。
「オーッ!」
「オーッ!」
「オーッ!」
流石は軍刀三等軍曹である。士気を上げる為に言葉を慎重に選び、半ば沈黙気味であった部隊の空気を一転させた。これは、百戦錬磨の下士官にしか出来ない熟練されたテクニックであるだろう。と思う。




