武者震い
ゼロワン小隊(部隊)に合流してから3日後の事であった。いよいよ作戦が発動される事になった。作戦概要は以下の通りである。
まずゼロワン~ゼロスリーの3小隊がハワイ島大米帝国太平洋艦隊司令部を制圧占拠。その後第7、8歩兵師団と第4戦車師団+共和国海軍空母機動部隊Aチームや、空軍300機により制海制空権を確保。
と言うものであった。ゼロワン小隊の任務は先攻してハワイ周辺の大米帝国司令部及び部隊を排除し、機能不全停止に陥らせる事であった。笹尾秀星は流石に緊張した。突入作戦と簡単に言うが、ハワイの大米帝国司令部は無防備ではない。そこに小銃一つ片手に乗り込んで行くのだから、武者震いの一つもしたくなる。
この作戦の成功のカギは、ゼロナンバー小隊の速やかなハワイ島大米帝国司令部を制圧する事に限っている。彼等が、きちんと敵司令部を無効化する事が出来なければ、後にやって来る陸海空軍の兵力は満足な仕事が出来ない。無論、秀星達にとっては初陣でもある。折角縁あって入隊した訳だから、どうせなら手柄の一つでも上げたい事であろう。
しかしながら、その様なあからさまな野心と言うのは、時に判断を間違えたり鈍らせたりする。決して上手くやろうとはせず、とにかく与えられた任務を確実にこなせば、結果は自ずと付いてくる。共和国陸軍としても、ゼロナンバー小隊の実力を世間に知らしめるチャンスであり、ハワイの大米帝国太平洋艦隊を抑えられれば、西へ西へと部隊が展開出来る様になる。
いきなり広大な大米帝国の本土にまで攻め入る事など出来るはずもないから、一歩一歩近付くしか無かった。不安材料があるとすれば、陸海空各軍の連携がスムーズにとれるか否かと言う事である。入隊して間もない兵士にとっては、いきなりの実戦で慣れない事もあり、ついていくだけでやっとかもしれない。それでも、その様な理由で戦争の作戦を断念してしまうのは、愚かな事である。良きチャンスを得たと思える位で無ければ、左様なすわった心が無ければ軍人としては、いかん事であろう。




