ファイティングスキルとサバイバーズスキル
共和国陸軍の兵士として使い物に成る為には、最低限3つの事が出来なければお話にならない。
①銃の扱い方
②3日間以上補給無しで戦うサバイバルスキル
③怪我への対処
①~③を1ヶ月の間に叩き込まれる。訓練とは言え、出来ない者に対しては、厳しい叱責と蹴りが入る。銃の扱い方が出来なければ歩兵として役に立たない。また、戦場では3日間以上補給が無い事はザラにあり得る。怪我への対処が出来なければ、死に直結する。
歩兵だからといって、無闇に突っ込めば良い訳ではない。大抵の兵士は、①~③を効率良くこなす。これらが何の支障もなくこなせるのは、せいぜいブルーアーミー位からである。KKSでは、①~③を5日間でマスターして、その上で更なる戦闘技能を身に付ける事が求められる。
主として、白兵戦闘力の向上や、サバイバルナイフの使い方や、暗視ゴーグルの使い方等、戦闘に関するファイティングリストと、サバイバーズスキル(生き残る為の技能)の2項目に分けられる。こうして、1ヶ月経過する頃には、すっかり歩兵として完成されたレベルに達すると言う寸法である。
この1ヶ月と言う短期間で、どれだけ多くのファイティングリストと、サバイバーズスキルを得られるかで、兵士になってから精強な存在に成れるかがかかっている。主に得意な分野のスキルを伸ばしていくのが鉄板なのだが、出来そうなものは手当たり次第身に付けると言う戦術もある。それだけ時間がないのだ。
1ヶ月経過する頃にはKKSの兵士は先ず間違いなく最前線に放り込まれる。先ずはその戦場で生き残る必要が出てくる。秀星にとってKKSでの教育訓練は厳しいものではなかった。体力はホストの世界でしごかれていた為に問題にはならなかった。上官も、驚く程打たれ強い秀星は、KKSの新入兵士10人の中でダントツ1位の体力結果を残していた。
そんな秀星が得意としていたのが、サバイバルナイフを使ったコンバットスキルと、射撃の腕であった。どちらのスキルも、天武の才が大きく左右するものだと言う事を秀星本人は知らなかった。