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戦場のホスト  作者: 佐久間五十六
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第1章~召集~

 「秀さん、ご指名入りました。4番テーブルです。」

 こうして俺の1日は始まる。ここは東京・六本木No.1ホストクラブ「イカロス」。秀とは俺の源氏名である。月収3桁(100万)以上稼ぐのはざらにある。金を持て余したクズ女のつまらぬ欲求に付き合ってやる。只それだけで、一般サラリーマンの5、6人の月収を稼げるから楽勝だ。ホスト等アコギな商売である。稼げる時は月収500万円を越える事もあった。年収にすればざっと6000万円ってとこか。

 まぁ、日本人は金持ちだから年収6000万円なんて大した事など、ないのかもしれない。それでも一生路頭に迷わなくて良い金額である事は確かだ。No.1ホストの俺だが、歌舞伎町とは違いこの辺りには競合他社もおらず、目指すべきものがない。俺より稼げる男のいないホストクラブで、No.1の座に居続けるのは、退屈であった。

 ん?俺の名前?知りたきゃ教えてやる。笹尾秀星(20)だ。そうか、俺ももう二十歳になったのか…。そういやぁ、二十歳を過ぎた日本共和国民は、兵役の義務があるんだっけ?まぁ、2、3年部隊でおとなしくしとけば、満期除隊になるって話だし、何て事はないだろう。

 俺が仕事を終え家に帰って来るのはアフターサービス後の朝6時頃がルーティンである。同居している恋人の井山結衣(21)は毎朝昼夜逆転している俺の為に朝食を作ってくれる。彼女は特別可愛いとかそう言う訳ではない。彼女といると和む。よく分からないけど、見てくれが良いだけの女等吐いて捨てる程いる。だが、結衣は違う。あいつは俺の為に出来ない料理を覚え、結婚資金を貯める為に、頑張って入った大学を中退してパートを掛け持ちしている。

 金の心配はしなくて良いと、何度も言うのであるが、彼女は聞く耳を持たない。運命の日の朝もいつもと代わり映えの無い…筈であった。新聞受けに結衣が新聞と郵便を取りに行った時の事であった。戻って来た結衣は、血相を変えていた。眠い目を擦りながら俺は訊ねた。

 「おい、結衣どうした?」

 すると彼女は新聞と赤い封筒を渡した。

 「赤紙?このタイミングで?」

 新聞の記事には1面に「日本共和国は大米帝国に宣戦を布告。」

とドでかく書かれていた。

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