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3 アプローチってもうちょっと自然な感じでやるものじゃないの?

残念ながら新鮮な海老は手に入らず、トイペイなるものも知っている人すら見つからなかった。買い求めた食材は宿の主人に渡して調理してもらう。代金は宿泊料と別だが、長逗留しているお得意様だからと今日は無料にしてくれた。さすがに悪い気がしたので、食材の中からユキグニを一束贈ることにした。貴重な山のキノコで、味もさることながら栄養価の高さから高値で取引されるものだ。受け取った主人は大変な喜びようだった。できれば売らずに自家消費してほしい。以前食べてみたことがあるけど本当においしかったし。

調理が終わるのは約2時間後とのことなので、階段を上がって部屋に戻る。大人数が泊まるはずの大部屋にベッド4つと家具を運び込んで、永遠の氷河の拠点にしている。

そう、ベッドは4つ。

「ただいまー」

「エイおかえり」

「案外早かったアルな、食材はすぐに見つかったアルか」

「ごめん、今日は海が荒れてて出漁できなかったって聞いたから回らずに切り上げてきたんだ」

「そうかー、残念アル」

「・・・トイペイは?あった?」

「そっちもないってさ。ていうか知ってる人すらいないんだけど、どんな食材なのさ」

「トイペイは・・・トイペイ・・・」

そりゃリンゴって何?と訊かれたらリンゴだよと答えるだろうけどさ。

「さて、食べられるのはいつごろになるって?」

「2時間後だってさ」

「よし、なら風呂行くアル」

「エイ・・・貸し切りできる浴場・・・あった?」

「ごめん、どこも無理だってさ」

「今度は貸し切れる大浴場がある街を探して遠征するか」

「それはいいアルな」

「・・・賛成・・・」

みんなが貸し切りにこだわる理由。それは、4人で入るためだ。4人だよ。

以前一時的に活動拠点にした街では、貸し切りにできる浴場はなかったけど浴室付きの宿屋があった。この世界ではかなり珍しいというか、いまだにそこしか見たことはない。迷わずそこに泊まると決めたみんなの目的はその夜に発覚した。僕が一番風呂を使っていいと言ってくれたのでお言葉に甘えてそうさせてもらった。防犯のため、あくまでも本当に防犯のために脱衣所の扉につっかえ棒をしておいたんだけど、僕が湯につかった後で3人が忍び込もうとしていた。それも示し合わせたわけでなく謀ったように脱衣所前で鉢合わせ。「エイ入ってたのか!すまなかった!せっかくだからこのままいっしょに入ろうぜ!」を狙っていたらしい・・・というのも、鉢合わせた後で3人が自分の作戦を口にして互いにずるいずるいと文句を言い合っているのが浴室の中まで聞こえていたからだ。一番風呂を妙に勧めてくれると思ったらそんな意図があったのかと呆れながら一人湯を楽しみ、外が静かになったあとで上がらせてもらった。なお、脱いだ服に変化はなく、漁られた形跡はなかった。でも部屋に戻っても3人ともいなくて、夜中になってボロボロになって帰ってきた。決闘という名の喧嘩をしてきたらしい。

この一件以来、なんとかして男湯女湯がはっきり分かれている浴場を選ぶようにしている。

一応本音を言うと、好みのタイプではないとはいえ美女3人と一緒にお風呂というのにはあこがれなくもない。だが、そのあとのことを考えると絶対に迂闊な行動はできない。

その時点で、この3人の誰かを選んで添い遂げることは確定だからだ。できればずっとお友達でいたいと思える程度には3人とも好きなのだが、恋愛対象としては無理。


4人で宿近くの浴場に向かう。もちろん安全な街中では武装はなしだ。ホンファは私服が戦闘服だから民族衣装姿のままであまり変わらない。大きくパンダの絵があしらわれたチャイナドレス・・・って、ちょっと待て。この世界にもパンダいるの?

「・・・アリョーシャ・・・そのシャツどこで買ったの・・・?」

ペオリアはアリョーシャの服に注目したらしい。そりゃ気になるよな。これっていわゆる「どうていをころすふく」。この世界にもあったんだな・・・。

「適当に買っただけなんだけど、さっき切るときちょっと破けちゃったんだ」

絶対嘘だ。切り口がほつれないようにちゃんと縫い合わせてあるから間違いなく市販品。

「そりゃ大変アルな、すぐに戻って着替えてくるヨロシ」

「あなたもよホンファ・・・」

よく見るとホンファのチャイナドレスのスリット、わきのすぐ下まで続いているじゃないか。そんなところまで切れ目入るはずがない。

「いつも着てたからそろそろ破け始めたアル」

「・・・すぐに戻って・・・着替えてきなさい・・・」

「そん時はお前も一緒だペオリア」

「・・・ただの偶然・・・」

「問われる前に自白するアホがここにいたアル」

ペオリアの服装は全身ローブでいつも通りの服装。僕は本当に気づかなかったけどアリョーシャとホンファはすぐわかったようだ。ペオリア、ノーブラノーパンだった。

「えーと、じゃあみんな出直すみたいだから先に行ってていいかな?」

低レベルな争いは今に始まったことじゃないので本当に置いていくつもりで言った。

「いやまあここからだと戻るより進んだ方が近いし」

「風呂上りにはスリットが大きい方が涼しくていいアルよ」

「どうせ・・・湯につかる前に脱ぐし・・・」

じゃあ帰りはちゃんと下着着けるつもりなんだろうか。結局、4人そろって浴場にたどり着いた。

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