修学旅行2日目(~昼食)
二日目は二分割しています。
目が覚めた。隣に誰かがいる、気がした。横を見るが、気のせいだった。そういえば昨日、変なことがあったっけ。思い出すと意識してしまうのでどうにかして忘れようとした。時刻は6時15分。起床時刻は6時半なのでもうすぐだ。隣のベッドには松本がまだ寝ている。布団にいるとまた昨日のことを思い出してしまう。班行動の時に桜野とまともに話せるのか、不安だった。少し早いが、布団から出て準備をした。今日持っていくものをリュックに入れ、寝ぐせを適当にとかす。放送が鳴った。先生のモーニングコールだ。それとほぼ同時に担任の先生が部屋に来て、起きているかの確認をした。朝食は7時からで、それが終わったらすぐにホテルを出る。だから、朝食までに出る支度をしておいた方がいい。松本はまだ布団から出てこない。「早く起きないと遅刻するよ。」と声を掛けても返事は無い。掛け布団を剥ぐと「やーだー」と言ってまたかけなおしてしまう。「朝ごはん食べないの?」と聞くと「食べるー」と言って起きだした。よく分からない。それが松本らしいとも言えるのだが…支度を終わらせ、朝食の時間が近づいたので場所まで向かう。
朝食の場所まで向かう途中、桜野と磯川さんに会った。桜野は頭のてっぺんで髪の毛を結び、それを右側に垂らしている。初めて見るような髪の結び方だが、とても可愛かった。磯川さんは桜野に左側も追加したような髪型だった。磯川さんは「青柳君おはよ~」と言ってくれたが、桜野は何も言わない。いつもの桜野に戻った感じだった。特に一緒に行くことは無く、朝食の場所に着いた。テーブルが横に一列。それが何列もある。昨日と全く同じだった。自分の席に着いた。今日の朝食は ご飯に卵のなにか、ソーセージ、ハム、サラダ、コーンスープ、野菜ジュースだった。昨日同様、ご飯はお代わりがあるらしい。しばらくして係の生徒がマイクをもって右前に来る。「今日はクラスごとにバスで移動してそこからは班行動です。……それでは手を合わせてください。いただきます。」ハムとソーセージはしょっぱかったが、それがご飯にあって美味しかった。コーンスープもたまに飲むと美味しく感じる。そんな感じだった。
朝食を食べ終わり、一旦部屋に戻った。今日も予想最高気温は29度、晴れ。本当に十月なのか、信じられないほどだった。忘れ物がないか最後に確認しておく。もし忘れても班の誰かが持ってきていれば何とかなるし、大丈夫だろ。部屋を出ようとしてタオルが落ちているのに気付いた。人に借りられないものを危うく忘れるところだった。鍵をもって部屋を出る。オートロックなので鍵を閉める必要はない。ロビーで鍵を一度返却し、カメラを受け取る。そしてホテルの前に停まっているバスに乗った。
A組の最初の目的地は 金閣寺。でも僕たちの班は金閣寺ではなく龍安寺に行く。この暑さの中歩いていくのか、と思うとちょっと行く気が失せる。
ホテルから金閣寺までは10分ちょっとで着いた。ここから歩いて20分らしいが、道が分からない。スマホは使えないので地図に頼る。駐車場を出たところの大通りをまっすぐ行ったら、右側にあるらしい。ここからはひたすら歩くしかない。同じことを考えている班もあるらしく、前には他の二つほどの班がいた。ただ、一つの班にしては人数が多く、二つにしては少ない。杉浦と仲のいい金子君がこっちに来た。「なんかさ、あいつらやっぱり金閣寺がいいとか言い出して私も私もって女子が全員別れたんだよね。俺らは予定通りに行ってるんだけど。」と焦っているような、怒っているような、そんな口調だった。連絡手段は何もない。「まあ、そこの班と一緒にいればいいんじゃない?」杉浦はそう答えた。そして「勝手に別れたのはあっちでしょ?なら別に怒られても気にすることないと思うよ。」と続けた。金子君は「まあいっか」と前の班の元に戻っていった。修学旅行で班が分かれる、しかもまだ二日目の朝。そんなことがあるのかと驚いたが、ありえる班のメンバーでもあった。
今歩いている道は日影が本当になかった。あったのは一部、雑木林のようなところの側だけ。気温よりもまだまだ夏の熱い日差しの方が辛かった。体感では20分以上かかって龍安寺に着いた。拝観料の500円を払い、中に入った。敷地の中を少し進むと建物があった。靴を脱ぎ、中に入る。すると小さな、砂利の敷かれた庭があった。そこには少し大きめの岩が複数個。教科書とかで見るよりも小さく感じた。石の数は15あるそうだが、見ると14個しか見えない。ただ、ある場所から見ると15個全て見れるらしい。それは読者の皆様に実際に見に行って確かめてもらうことにする。全員が見れたところで縁側に座って休憩した。その様子を少し離れたところから写真に撮った。そして僕も縁側に座った。まだまだ時間はたくさんある。ここにいてもいいが、なんとなく時間がもったいない。「せっかくだし、金閣寺もう見とく?」と聞くと、「良いかもね。明日行けるか分かんないし。」と柳田が答えた。「みんなはどう?」と柳田が聞くと「良いと思う」と頷いた。「じゃあ、あと5分くらい休んだら行こうか。」さすが生徒会会長だけあってしっかりしてるな、と思った。何も考えないでぼーっとできる。昨日の座禅をするのら今がちょうどいいくらいだ。左側に誰かが座った。桜野だ。僕は何も言わない。桜野も何も言わなかった。一緒に磯川さんも来ていた。桜野は誰にも気づかれないようにそっと僕の手の上に手を重ねた。改めて感じると小さくて、やわらかくて、すべすべしていて、簡単に言うと……説明できない。「もうそろそろ行こうか。」と柳田が言い、僕も立ち上がろうとした。しかし左手にはまだ桜野の手が乗っている。仕方ないので手の内側をくすぐった。桜野は手を引っ込め、誰に言うでもなく「もう行くの?」と聞いた。「金閣寺見るなら今から出ないと間に合わないかも。」と柳田は答えた。
龍安寺を出て来た道をまた辿る。さっきよりも日差しの熱さが増し、気温も高くなっていた。なるべく日陰を歩きたいが、そんなものは無い。桜野と磯川さんは男子の陰に隠れるように歩いている。こういう時、身長が低いといいよな、なんて思った。道が分かると早く感じるのだろうか、行きよりも早く着いた気がした。時間はあと45分ある。また500円払って金閣寺の敷地に入った。しばらく道を進むと池が見えてきた。そして光り輝く金閣寺も見えた。やはり教科書で見るより小さく感じる。しかし、その輝きは教科書からでは感じられない、何とも言えない美しさがあった。たまたまカメラマンがそこにいたので写真を撮ってもらった。僕は金閣寺だけの写真も撮った。そこで何故こんなことを思ったのか、桜野に「写真撮る?」と聞いた。「保健係ってやることなくて暇なんだよね~。だからさ、写真くらい撮らせてよ。」確かに保健って何もしてない気がする。一日目の夜くらい…か?桜野も同じところから写真を撮った。斜めになっている。多分そういう写真を撮りたかったんだろう。SNSも何もやっていないのでその辺は分からないけど。先に進むとそこには売店があり、おみくじやお守りなどが売っていた。桜野たちはそこで立ち止まり、買いたいものがないか探していた。逆に柳田たちは先に進んでしまい、いくつかある湧き水の方に行ってしまった。僕はそのどちらも見える位置に立ち止まり、見失わないようにした。本当は桜野のところに行きたかったけど、今はそういうときではない。柳田も分かっているらしく、見えるところで止まってくれた。桜野たちは買い物が終わったらしく、袋をもってこちらに駆け足で来た。「そんなに急がなくても大丈夫だから。」そう言ってゆっくり歩かせる。湧き水は小さな滝のようになっていて、見ているだけで涼しくなってくる。柳田たちも待っているので行くことにした。しばらく進むとまた売店があった。売っているものはさっきと変わらなそうだった。さらに進み、駐車場に出た。僕はそこにある売店でお土産を買うことにした。店内は広く、本当にいろいろなものが売っていた。回ってみた結果、箸を買うことにした。金閣のなんか模様らしい。誰に買ったか、決まっている。今は秘密にしておこう。時間もちょうどいいくらいになり、トイレを済ませてからバスに戻った。
次の目的地は上賀茂神社。昼食も兼ねている。それほどお腹は空いていないが、食べないという選択肢は無い。歩いているうちにお腹も空くだろう。
バスは上賀茂神社に着いた。紅い大きな鳥居が熱い日差しによく映えていた。他の班はどこに行くのか知らない。まずは予定していた「今〇食堂」に行くことにした。しかし、修学旅行生はだめとのこと。地元の人たちがどうこうって言っていた。仕方がないので他のところを探すことにした。近くのお好み焼き屋さんもダメ、コンビニにするわけにもいかない。大きめの通りを歩きながら探していると良さそうなお店があった。「みその橋 サカ〇」尋ねてみると満席だった。他のところを探すことにする。大通りから少し行ったところで工事をしていた。そこで働いている人なら何か知っているかもしれない。磯川さんが声を掛けてくれた。「すみません。この辺で飲食店ってどこかありますか?」「東京から来たの?」「はい。そうです。」「飲食店ねぇ~。僕も千葉から来たからあんまり知らないんだよね。有名なところで言えば サカ〇さんとかかな。」「さっき行ったら満席だったんです。」「そうか…他は分かんないなぁ。申し訳ないね、役に立てなくて。」「いえいえ、教えていただきありがとうございます。」みんなでお礼を言った。この辺だとそこしかないのか。もう一度行ってみたら空いているかもしれない。そう思い行ってみると ちょうど一組出てくるところだった。入れ違いで店内に入った。「いらっしゃいませ」と声がした。「5人です。」と柳田が言うと「こちらへどうぞ」と少し奥に入ったところのテーブルに案内された。6人掛けの席に男子と女子で向かい合って座った。メニューを見ると中華料理店みたいだ。このお店の名物は「焼豚冷麺」らしい。他にも中華そばやラーメン、炒飯、餃子、かに玉、回鍋肉、麻婆豆腐、定食など、すごく多くの中華料理があった。注文する料理が決まり、店員を呼んだ。女子二人は回鍋肉定食を、杉浦はみそラーメンを、柳田は焼豚冷麺定食を、そして僕は焼豚冷麺単品を頼んだ。料理が来るまでの間、これからのことを話した。時間があれば上賀茂神社を見てみる。銀閣も帰った後に時間があれば見てみよう。いろいろなことを話していると料理が運ばれてきた。焼豚冷麺は冷麺に焼豚の細長く切ったものが乗っていて、その上に刻みのりが乗っている。杉浦は「暑いのに何で熱いの頼んだんだろう。」とか言っていた。焼豚冷麺の味だが、麺がしっかりしていて、たれと豚肉と麺の組み合わせが最高だった。これで一皿800円弱なら安いと思うし、これ、本当においしい。是非食べてほしいと思います。定食の方は中華スープとヨーグルトのようなものが付いてたっけ?あまり良く覚えていない。みんな食べ終わり、少し休憩した。前に座っていた桜野の顔を見ると顎のあたりに回鍋肉のたれが付いていた。僕が指で自分の顎を「ここここ」と指すと桜野も触った。気づいたらしく、おしぼりで口元をふいていた。あまり長くいるのも迷惑だと思うので出ることにした。
時間はまだ30分ほどある。せっかくなので上賀茂神社を見ることにした。紅い、大きな鳥居があり、そこから入ると白い石が奇麗に敷かれている。これはいいと思い、班のみんなが歩いている姿を後ろから、地面の近くで撮った。まだ夏の、熱い日差しを白い石が反射する。地面を見るとすごく眩しかった。そこを抜けると神社の建物があり、またおみくじやお守りがあった。お賽銭箱もあったのでみんなですることにした。5円玉がなかったので仕方なく50円で。一緒にお金を投げ、神様に祈る。僕は何を考えていたのか、覚えていない。多分、受験生だったし、合格しますようにとか、そんなことだったと思う。一通りお金のかからない範囲を回り、バスに戻った。
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