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プロローグ
大雨の中、俺は無惨に殺害された血だらけの妹を抱えて地に跪つき、俯いたまま頭を上げず涙を流していると。
『……オイ……ソコノニンゲン……』
聞き覚えのない声が俺の耳元で囁く。
『オマエハ……イマ……ナニヲモトメル……』
この問いに俺は……。
「……この……世界を……」
迷いなく返答する。
「妹をこんな目にあわせた……この世界を破壊したい!」
囁きの声は。
『……ソノヨクボウヲ……カナエテヤル……』
俺の心を欲望の渦へと誘惑する。
『オレト……ケイヤクシロ……』
「へ?」
『サスレバ……オマエハ……アクマノチカラヲ……エラレル……』
「悪魔の力?」
そう、俺の心の隙間に囁くのは……。
『サァ……ドウスル……ニンゲンヨ……』
「俺は……」
悪魔だった。
「お前と契約する……俺の欲望を叶える為に……」
俯いていた頭を上げ、断末魔の叫びと血の涙を流しながら悪魔と契約を結ぶ道を選択した。
「この腐った世界を……」
己の欲望を叶える為に……。
『ケイヤク……カンリョウダ……ニンゲン……』
この悪魔と契約して……。
「俺が破壊してやる!」
世界を破壊する悪魔の王となる!!