臨時パーティー
「とりあえず自己紹介するか。おれは獅子王猛。サモナーだ。ビーストキングの方がわかりやすいかな」
おれはそう言いつつストレージから回復ドリンクとマナクッキーを取り出し、3人に配った。
「どうも…。私はリーダーの花菱茜。魔法使いよ。よろしく」
茜は自己紹介してマナクッキーをかじった。
「ありがとうございます。ボクは北風翼。剣士です。よろしくお願いします」
翼はお辞儀してドリンクを飲んだ。
「私は観月望…。シスターです。よろしくお願いします」
望はクッキーをポリポリとかじった。
「以上が私たち『可憐なる美姫』のメンバーよ。よろしくね」
茜はそう言ってお辞儀した。
「よろしく。まずはお前らの戦いを見せてくれないか?何も知らないままじゃ連携も取りづらいしな」
おれは3人に提案した。
「いいわよ。B級冒険者様のお眼鏡にかなうかはわからないけどね」
茜は少し緊張した顔で言った。
しばらく歩いているとコボルトの群れが出てきた。
「ちょうどいいのが来たわ。とりあえずビーストキングは見学しててね」
茜はそう言って杖をコボルトに向けた。
「まずはあいさつがわりよ。ボム」
茜はそう言って光る球を放った。光る球はゆっくりコボルトに向かって行った。
「わうっ?」
コボルトは困惑しながら球を避けた。
「残念。範囲内よ。…イグニッション!」
茜が指を鳴らすと、球が爆発した。
「ワオーン!」
爆発に巻き込まれたコボルトは全て魔石になった。
「これが私の爆裂魔法よ。結構すごいでしょ」
茜は得意げに言った。
「確かに面白い。けど懐に入られると爆発に巻き込まれる危険があるのが欠点だな」
「そうなのよね…。他の爆裂魔法覚えられたら色々出来るんだろうけど正直厳しいわ。なるべく巻き込まないようにしてるけどたまにあるのよね」
茜は暗い顔をして言った。
「次はボクですね。…はあっ!」
今度は翼が一瞬でコボルトの前に移動して突き刺した。
「キャン!」
コボルトは叫んで魔石になった。
「なかなか速いな」
「そうなの。速さを活かして突き刺すのが翼の戦い方よ」
茜は腕を組みながら言った。
「やあっ!はあっ!」
翼は次々に突き刺して倒していった。
「もしかしてだが突きしか出来ないのか?」
おれは戻ってきた翼に聞いた。
「探索者になるまで剣なんて持ったことなかったですからね。勢い任せで突くことで何とかやれてる感じです」
翼はそう言って苦笑いした。
「本当に勢いまかせ過ぎるのよ翼は。攻め過ぎてケガするわ、かと思えば急に戻ってきて爆発に巻き込まれるわ…。望がいなければ私たちとっくの昔に死んでるわよ」
茜はそう言って溜息を吐いた。
「わ、私回復しか出来ませんから…。皆さんにいつも守ってもらってるのでお返しするのは当たり前です。それに頼ってもらえるのはうれしいです…」
望は照れ臭そうに笑った。
「ま、そういうわけでビーストキングに助けてもらった時はかなりやばかったのよ。翼を下手に動かすとカバーが遅れたり巻き込むかもしれない危険があるから動かせないし、割と爆発の範囲見切られてたからゴブリンバラバラに襲ってきてたし。あのままだと魔力切れたら死んでたわマジで」
茜はそう言って顔をうつむけた。
「こんなポンコツFランクパーティーだけど、本当にボス倒すのに力貸してくれる?」
茜は不安そうに聞いてきた。
「男に二言はねえよ。これくらい危なっかしい方がサポートしがいがあるってもんだ。それに自分たちの長所も短所も把握出来てるだけおれが前いたパーティーよりマシだぜ。今思えばあいつら目立つために技ぶっぱなすだけだしよ。賢者ですら派手な魔法連発することしかしてなかったよ」
おれは茜を励ましつつ、元パーティーをディスった。
「本当にろくでもないパーティーだったのね…。ここにビーストキングが1人でいる時点で何かあるのは察してたけど…」
茜はそう言って苦笑いした。
「じゃあ改めてボス撃破まで頼むわ」
茜は決意を込めた目で言った。
「おう。一緒にボス倒そうな」
「「「はい!」」ええ」
おれたちは決意を新たにし、先へと進むことにした。
かなりクセが強いパーティーになってしまいました。その分書くの面白いですけどね。
まだまだダンジョン探索が続く予定です。