救援
「…みんな、今の悲鳴聞こえたか?」
おれはリスナーに聞いた。
コメ:聞こえた!
コメ:誰かピンチなのかな?
コメ:助けないとまずいんじゃないか?!
「悲鳴は下層から聞こえてきたな。…ソウルウェポン、ラビットフット」
おれは足に武装して脚力を強化した。
「ブルースとラビィは先行して索敵。場所がわかったら伝えててくれ」
おれはブルースとさっき仲間にしたラビィに指示をだした。
「リマはおれと来い。血の臭いがしたら誘導頼む」
「ガル!」
おれが指示を出すとリマは元気よく吠えた。
「リスナーのみんな、この『そよ風の洞窟』の中で配信してる探索者いないか調べてくれないか?場所を特定する手がかりになるかもしれない」
おれはリスナーに呼びかけた。
コメ:了解!調べとく。
コメ:わかったら書くぜ。
コメ:そよ風の洞窟で探索してる友達いるから連絡してみる!
「ありがとな。それじゃ行くぜ!」
おれはモニターを見ながら全力疾走した。そのままの勢いで階段を数段飛ばして駆け下りる。
コメ:今ビーストキング地下3階に向かってるんだよな?
コメ:ならこのゴブリンの群れに囲まれてる配信じゃないか?
コメ:悲鳴上げてたの女の子だったからそれっぽいかも。
リスナーが言う通りゴブリンの群れが見えてきた。どうやら当たりみたいだな。
「ビンゴ!全員ぶっ飛ばしてやる!」
おれは群れの中心に向かって跳んだ。
ーーー
「はあ…はあ…。これじゃキリがないよ」
剣を持った少女が肩で息をしながら言った。
「くっ。バラバラで向かって来るのがまたウザいわね…。モンスターのくせに頭使ってんじゃないわよ!」
杖を持った魔法使いの少女が壁を背にして悪態をついた。
「ごめんなさい!私が罠を踏んだせいでこんなことに…」
魔法使いの少女の隣にいるシスターの格好をした少女が申し訳なさそうに言った。
「反省は後!今はこの状況をどうにかするわよ!」
魔法使いの少女は声を張り上げた。
「う、うん。こんな所で負けてられないよね」
剣士の少女はそう言って顔を上げた。
コメ:おい、これ大丈夫か?
コメ:頑張ってるけど厳しいかもな。
コメ:誰か何とかしてくれ!
彼女たちの浮遊モニターにリスナーたちの不安そうなコメントが流れていた。
コメ:大丈夫だ!今ビーストキングが向かってる!
「へ?ビーストキング?」
魔法使いの少女がコメントに反応すると同時に、剣士の前にいるゴブリンが苦しみ出した。
「い、一体何が…?」
困惑している剣士の少女の前でゴブリンがまとめて切り裂かれ、魔石が辺りに飛び散った。
「よく頑張ったな。もう大丈夫だ」
そう言って少年は勢いよく少女たちの前に下りてきた。
コメ:ビ、ビーストキングだ!
コメ:完全に終わったな…ゴブリンが。
コメ:救世主キター!
「死にたいやつはかかって来な。全員ぶっ潰してやるよ」
少年はそう言って不敵な笑みを浮かべた。
ほぼ勢いだけで書きました。次でゴブリンを片付けます。