イレギュラー
途中から三人称になります。
モンスターを倒しながら進んでいると、金属音が聞こえてきた。
「モンスターと戦っているようだな。…血の臭いがするから苦戦してるんだろう」
おれは現段階でわかることをみんなに伝えた。
「ケガしてるんでしょうか…。早く助けないと」
望は心配そうな顔で言った。
「助けるにしても状況を見る必要がある。場合によっては戦っているモンスターの経験値を横取りすることにもなりかねないしな」
おれはみんなに忠告した。
「苦労して戦ってたのにいいとこ取りされるのは気分よくないですもんね。探索者の間で悪評が立つのは避けたいですし」
翼はうなずきながら言った。
「助けたのにハイエナ扱いされるのもあれだしね。治療はするとして、戦闘に参加するかどうかはその時考えましょう」
『探索者って色々めんどくさいんだね。ま、リーダーの意見なら従うけど』
方針が決まった所で、おれたちは音がする方へと急いだ。
ーーー
「う、うぅ…。み、みんな。おれを置いて逃げろ」
頭から血を流して倒れている男が仲間に呼びかけた。
「何言ってるんだ。お前だけ置いて逃げられるか!」
「そうだ。仲間を置いて逃げられるわけないだろ」
男の声に答えたパーティーメンバーたちの装備はボロボロだった。相当痛めつけられたようだ。
「グハハハハ。ヤハリ人間ハ愚カダナ。コンナ雑魚ホットケバイイモノヲ」
そうパーティーを嘲ったのはゴブリンだった。その皮膚は普通のゴブリンとは違い血のような赤色をしている。
「黙れ!おれの仲間をばかにするなぁ!」
男は叫びながら折れた剣で赤いゴブリンに向かって行った。
「ハッ。バカガ」
赤いゴブリンは切りかかってくる男の剣を左手で受け止めた。そして右手のこん棒で頭を脇腹を殴った。
「ぐはっ!」
殴られた男は凄まじい勢いで吹っ飛んだ。見た目よりもパワーがあるようだ。
「コノ程度カ。モウイイ。遊ブノニモモウ飽キタ」
赤いゴブリンはつまらなさそうな顔をして側に倒れた男の背中を思いきり踏んだ。
「うぐっ」
踏まれた男は苦しそうな声を上げた。
「グハハハ。マズハオマエカラダ。頭ヲ叩キ潰シテヤルヨ」
赤いゴブリンはそう言ってこん棒を舐めた。
「や、やめろ!ファイヤーボール!」
最後に残った男が火球を赤ゴブリンに飛ばした。
「ハッ。ナンダソノ小サイ火ハ」
赤いゴブリンは一息で火球を吹き飛ばした。
「ば、バカな!お、おれの火が一息で?!」
火を放った男は震えながら叫んだ。目の前の光景が信じられないようだ。
「セイゼイ仲間ヲ助ケラレナイ自分ノ無力サヲ呪ウンダナ。アバヨ!」
ゴブリンはそう言って思いきりこん棒を振りかぶった。
「や、やめろー!」
パーティーメンバーの男が叫ぶ中赤いゴブリンはこん棒を振り下ろした。そしてこん棒が頭に当たる瞬間ーーー
「グハッ!」
ーーー赤いゴブリンの小さな体は横に吹っ飛ばされた。
「ここからはおれが相手だ。血塗れ野郎」
赤いゴブリンを蹴り飛ばした男はそう宣言して、倒れた赤いゴブリンを指差した。
展開が雑かもしれません。詳しい説明は次にします。




