みくるの性能
「で、お前のことは何て呼べばいいんだ?」
おれはロボに聞いた。
『みくるでいいよ。リスナーのみんな、こんミラクルー!あなたの心をハッキング!未来から来た超高性能ロボット、裏野みくるだよ。はじめましての人もよろしくね!』
みくるはおれたちの撮影用ドローンにもあいさつした。
コメ:こんミラクルー!¥500
コメ:いつも配信見てます!
コメ:ヨウツベから移動して来ました。
「結構人気なんだな。ダンチューブしか見てないから知らなかった」
『あー。そういう人いるよねー。特にみくるたちVは探索出来ないから知らない人多いかも』
みくるは沈んだ表情をした。
『ま、だからこそみくるの中にデータとして残った今は亡き開発者の残留思念こともう1人のみくるが、Vツベラーとダンチューブを繋ぐリアルVツベラーを開発したんだよ。えっへん!』
みくるはそう言って胸を張った。
コメ:あ、そういう設定なんだ。
コメ:元々ロボだから出来る設定だな。
コメ:リアルの職業バラしてて草。
『こら!設定とかリアルとか言わないの。みくるはれっきとした超高性能AIを搭載したロボなんだからね!メッ、だよ』
みくるは頬を膨らませながら指でバツを作った。
コメ:はい、気を付けまーす。
コメ:表情の再現度パねぇ。
コメ:これモーションキャプチャーなのか?
『まさか。私が出るのは戦闘時だけだ。今のみくるの会話は全てみくるのAIが判断して会話をしているんだよ』
操縦者はリスナーに説明した。
コメ:あ、闇みくるさんちーす。
コメ:この闇みくるさんの配信してるってマジなの?
コメ:普段の配信も合成音声とか使ってるんじゃね?
『誰が闇だ!…コホン。リスナーのみんな、こんミラクルー!あなたの心をハッキング!未来から来た超高性能ロボット、裏野みくるだよ!』
操縦者は瞬時に切り替えて実演してみせた。
コメ:おー。モノマネのクオリティ高いな。
コメ:一瞬本人かと思ったよ。
コメ:偽物の割にはやるなー。
『だから本人だって言ってるだろう!』
操縦者はリスナーに向かってキレた。色んな意味でキャラ崩壊してないか?
「まあまあ。落ち着きなよ、闇みくる」
「そうよ。冷静になって闇みくる」
「げ、元気出して下さい、闇みくるさん」
翼と茜と望が操縦者を励ました。
『だから闇みくるって呼ぶな!』
操縦者はみんなに怒鳴った。
「おっ、話してる間にモンスター出てきたな。出番だぞみくる、闇みくる」
おれは近づいてきたスライムを指差した。
『…もう闇でいいや。やるよ、みくる』
闇みくるがそう言うと同時に、みくるの背中から機械が弾け飛んだ。
コメ:オールレンジ攻撃?!
コメ:すげえ!ロボアニメみたいだ!
コメ:完全にガンデインだな。
リスナーが盛り上がる中、機械の一つが変形してスライムに刺さった。
「ピキッ?!」
機械が刺さるとスライムの体から粒子が出て、その粒子が機械を通してみくるの体に入って行った。
「それってモンスターが倒された時一瞬出るやつよね?」
『その通り。モンスターが動くための魔素というエネルギーだ』
茜とみくるが会話する間にスライムはどんどん萎びて行った。
「ぴ、ピキ…」
スライムは一言だけ喋り、魔石を残してスーっと消えた。
「消え方は変だが魔石は残るんだな」
『そのようだな。魔石は魔素とは関係ないのか?』
闇みくるにもよくわかっていないようだ。
「ゲームで落ちるお金みたいな感じじゃないかな。よくわからないけど」
翼が意見を言っているとゴブリンが現れた。
『まかせて!』
みくるは銃を出現させると、ゴブリンを撃った。放たれたビームはゴブリンに向かって曲がった。
「ゴブッ?!」
ビームを食らったゴブリンは魔石を残して消滅した。
コメ:今の曲がらなかったか?
コメ:追尾弾か。
コメ:FPSならチートだな。
『まあゲームならな。探索だからこそ使える技だ』
みくるはそう言いつつ機械で魔素を吸収した。
「やっぱりみくるちゃんの動力って魔素なんですか?」
望は闇みくるに尋ねた。
『電気も使ってるが基本は魔素だ。ビームを撃つにも魔素が必要だから節約が必要なんだよ』
闇みくるはそう言って機械を背中に戻した。
「火力があるのはわかったわ。でも肝心の防御力はどうなのかしら?」
茜はみくるに疑問を投げかけた。
『それは後のお楽しみってことで。とにかく先に進もうよ!』
みくるは金属音を響かせながら歩き出した。
水星の魔女面白いです。次は現メンバーの成長を見せていきたいと思ってます。




