『美姫と獣王』、始動
「どうも、ビーストキングだ。今日は新たに組んだパーティーでFランクダンジョンに行くぜ」
おれはスマホで自撮りしながら言った。
コメ:新パーティー?誰と組んだんだ?
コメ:Fランクってことは新人だよな
コメ:ビーストキングで新人…。まさか!
「正解。Dランクダンジョンで一緒にボスオークを倒したパーティーよ。今のパーティー名は『美姫と獣王』になったわ」
茜はおれの隣に割り込んできた。
コメ:やっぱり!あの時の子たちだ!
コメ:まあビーストキングも前のパーティーよりやりやすそうだったからいいけどさ。
コメ:リーダーは誰?やっぱりビーストキングか?
「私も経験がある猛の方がいいと思ったんだけどね。性に合わないって断られちゃったのよ。だから引き続き私がリーダーってわけ」
茜は苦笑いしながら自分を指差した。
「正直モンスターへの指示だけで手一杯だしな。頭を使うより勘で動く方が合ってるし、細かい作戦立てられる気がしねえよ」
おれは茜の言葉に補足した。
コメ:あー。結構モンスター出すよな。
コメ:確かにビーストキング脳筋だよね。
コメ:頭より先に体が動くタイプだよな。
「なんか人に言われると腹立つな…。まあ事実なのは認めるが」
おれはコメントに返した。
コメ:ところで何でFランクダンジョンなんだ?やっぱり慣らし運転か?
「もちろんそれもあるけど、ついでにタンク役見つけられたらいいとは思ってるわ。猛も出来なくはないけど、やっぱり近くにずっと待機させるのはもったいないしね」
茜はリスナーに説明した。
コメ:それならギルドに募集かけた方が早くね?ビーストキングがいるなら誰かしら来るだろ。
「それだと選ぶのめんどくさいだろ。それに強いタンクはもうパーティー組んでるだろ。なら低ランクダンジョンで駆け出しのタンクを見つけた方がいいだろ」
おれはリスナーに説明した。
コメ:あー。確かに集まり過ぎるのも問題かもな。
コメ:でも都合よくソロのタンクとか見つかるのか?
「ここで見つからなかったら他のFランクダンジョン行くわ。それでも見つからなきゃ素直に応募出して選考するわよ」
茜はリスナーのコメントに返しながらダンジョンの入り口に向かった。
「それじゃ行くわよ。私たち『美姫と獣王』の新たな一歩を見せてあげるわ!」
茜は張り切ってダンジョンに踏み出した。おれと翼と望も後に続く。
「……え?」
ーーーダンジョンに踏み込んだおれたちの目に最初に飛び込んで来たのは、岩の中から両腕が飛び出している光景だった。
全く始動してませんね。次は新キャラが出ます。




