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ダンジョン攻略を終えて

「…間違いなく万能薬ですね。さっそく妹さんに処方します」

万能薬を鑑定した医者はそう言って茜の妹に万能薬を飲ませた。

「ん、んんっ。…お、お姉…ちゃん?」

茜の妹はうっすらと目を開けた。

「澪…。よかった…。本当によかった」

茜は妹の澪を強く抱き締めた。


「痛いよ、お姉ちゃん。…あれ?ビーストキングがいる…。ここ天国なの?」

澪はおれを見て目を丸くした。

「本物だよ。えっと、澪でいいか?」

おれは澪に笑いかけた。

「わあっ…。本当にビーストキングだ!何でいるの?!」

澪は興奮しながら茜に聞いた。

「ちょっと澪の病気を治すための万能薬を取りに行ったダンジョンで助けてもらったのよ。まあボス倒したのは私だけどね!」

茜はそう言って胸を張った。

「ほんと?!お姉ちゃんすごい!くわしい話聞かせてよ!」

澪は目を輝かせながら言った。


「ママもくわしい話を聞きたいわ~」

何だか凄まじいオーラと共に病室の扉が開くと、茜と澪にそっくりな女性が笑みを浮かべて入ってきた。

「げ、ママ…」

茜が呟いた瞬間、ゴンという鈍い音が辺りに響き渡った。

「いだっ!」

茜は頭を押さえてうずくまった。

「もう!あんな無茶して何考えてるの!しかもパーティーメンバーのみんなまで巻き込んで!」

茜のお母さんは茜を叱った後、茜と澪を抱き締めた。

「本当に無事でよかった…。澪が病気になった上に茜までひどいことになったらママ…」

茜のお母さんは震えながら言った。

「ご、ごめんなさい…。心配かけて」

茜はお母さんをしっかり抱き締めた。


「…ごめんなさい、病院で騒いじゃって」 

茜のお母さんは恥ずかしそうに言った。

「翼ちゃんに望ちゃん。うちの茜の無茶に付き合わせちゃって本当にごめんなさいね」

茜のお母さんは2人に頭を下げた。茜も一緒に頭を下げる。

「い、いえ。ボクたちも澪を助けたかったですし」

「澪ちゃんと茜ちゃんが苦しんでるのを見て放っておけるわけないですから」

翼と望は力強く言った。

「ありがとう…。あなたたちのような友だちが茜と澪にいてくれてよかったわ」

茜のお母さんは涙を流しながら頭を下げた。


「それからビーストキングさん。茜のわがままに付き合わせちゃってごめんなさいね」

茜のお母さんはおれにも頭を下げた。

「頭を上げて下さい。おれにはみんなを連れ戻した後おれがソロ攻略して万能薬を取ることも出来たっす。無駄に娘さんの命を危険に晒してしまってむしろ申し訳ないっす」

おれは茜のお母さんに頭を下げた。


「いえ、茜の性格なら勝手にダンジョンに挑んでまた危ない目にあったかもしれません。それに全部あなたがやってしまってたら茜はずっと澪を助けられなかった引け目を感じてしまっていたでしょう。茜のためにはきっとベストな選択だったと思います」

茜のお母さんは微笑みながら言った。

「ママ…」

茜は泣きながらお母さんの胸に顔を埋めた。


「そう言ってもらえると助かるっす。ま、今は色々積もる話もあるでしょうからおれは帰るっす。あ、今回の攻略の報酬とかの細かい話については後日話すってことで。おれのダンッターアカウントにDMくれりゃ会う日程の調節するからさ」

おれは少し照れ臭くなって背を向けた。

「じゃあな。お前らとの探索悪くなかったぜ」

おれは後ろ手を振りながら病室を後にした。

少しはいいお母さん感を出せてればいいんですけどね。

次の予定は未定です。

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