07.ゴーレム出現!
大男の一件以来、わたしは自信が付いた。
もっと堂々と受付嬢の仕事も熟し、もっともっと冒険へ出た。疲れなんて魔物は忘れて。
ステータスを確認。
★★★ ★★★ ★★★
【Name:グレイス】【Lv.26】
【Status】
STR19 AGI36 VIT01
INT01 DEX10 LUK01
【Skill】
[受付嬢の心得] Lv.10(Max)
[打撃] Lv.3
[ディバインナックル] Lv.2
【装備】
[上段]:麦藁帽
[中段]:
[下段]:
[武器1]:オープンフィンガーグローブ(右)
[武器2]:オープンフィンガーグローブ(左)
[サブ武器]:
[盾]:
[鎧]:受付嬢の制服
[肩]:
[靴]:リボン&フリル付パンプス
[アクセサリー1]:
[アクセサリー2]:
★★★ ★★★ ★★★
よし、オッケー。
今日は荒野フィールドの『レッドゾーン』へ侵入。そこは、ゴーレムの生息する地帯だった。もうすぐ到着っと――。
更に険しい荒野へ入った。
辺り一面、岩とかばかり。明らかにゴーレムが生息していそうな雰囲気があった。なんだろう、この緊張感。ちょっとドキドキする。
周囲を警戒しながら歩いていると、
「やあ、キミ。ひとりかい?」
ぴょこっと岩陰から人間が現れ、話しかけられた。びっくりしたぁ……。
「あ、あなたは?」
「俺はファイクだ。このアーマーの見てくれの通り、上級職の騎士でね」
ファイクと名乗る青髪の青年は、確かに騎士だった。……凄い。騎士はこの辺りじゃあまり見かけないのに。レベルは高そうなのに……どうして、こんな辺鄙な場所にいるのだろうか。
「ファイクさんは狩り中ですか?」
「そ。俺は悲しいことにぼっちでね~。そこでキミを見かけたのさ。どうだい、ぼっち同士みたいだしさ、パーティでも組まない?」
なんとパーティに誘われた。
つまりペア狩りをしないかってこと。
うーん。
確かに、上司のエイルさんはパーティを推奨していたけれど。
「ごめんなさい」
わたしはお辞儀して断った。
「え……うそ。まってまって! この先のゴーレムは危険なんだよ?」
「ええ、知っていますけど……そのゴーレムって、あなたの背後にいるヤツですよね」
「――――へ」
騎士は振り向いて、そのモンスターの存在を恐る恐る確認した。そして、
「ぎゃああああああああああああああああっ!!」
叫んで逃げてしまった。
……えぇ。
「ちょ……」
ゴーレムのターゲットがわたしに移る。
まず……
ゴツゴツとした太い腕が襲い掛かってくるし!
それを回避すると、腕は地面にめり込み――地面を揺らし、大地を破壊した。その衝撃で土が飛散し、小石が弾丸となった。
「きゃっぁ……」
小さいダメージだけど受けてしまった。
すぐにポーションを飲んで回復した。
「今更ですけど……これ殴って倒せるんですかね……」
本当に今更だった。
あんな岩のような大きいゴーレムを拳で?
わたしの拳が先に破壊されちゃいますよ!
「……くっ、楽しさばかりでモンスターの情報とか疎かになっていました。わたしとした事が……」
嘆いている暇はない。
ゴーレムは再び腕を伸ばしてくる。
後ろへバックステップ――
からの、バク転ジャンプ!
「――ふぅ、これで距離は取れました……やはり、レッドゾーン……一筋縄ではいきませんね」
どうしましょうか。
逃げるという選択もない事はない。
いや……逃げない。
わたしは、いつだって受付の仕事から逃げ出すことはない。だから、これも一緒。このゴーレムに必ず勝ってみせる。
背を低くして――いざ!