表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/81

57.覚醒、覇王聖女

 元上層部四人は、さすがの人数に驚いていた。まさか皇帝陛下までも現れるとは、思わなかったらしい。



「おい、ロワ! サンクチュアリの皇帝も現れるとは聞いておらんぞ!!」



 焦りまくるレーグル。



「う、うるさいわね、ボケ老人……」

「なんじゃとぉ!?」



「く……どうすんだよ、ロワァ!! これじゃ、負けちまうぞ!!」

「いいから、あんたはザンキを増やせ、ソール」

「ったく、ザンキ扱いが荒いぜぇ~……」



 ソールは、どうやらザンキを増やす能力を持っているみたい。あれには注意しなきゃ。



「――仕方あるまい、このオレが雑魚冒険者の相手をしよう」



 むんと巨体で向かって来るイノセンス。拳を強く振るって、冒険者を一撃で吹き飛ばしていた。なんて力なの! とんでもないダメージを受けた冒険者が次々に民家の壁へ激突していた。



 その状況を見守っていると、ネメシスが神妙な顔つきでつぶやいた。



「あの、グレイス……」

「?」

「もし……もし人間を超越出来るとしたら、貴女はどうしますか?」

「人間を超越?」



「ええ、それは以前にも申した『覇王聖女』です。今の貴女は、まだただの聖女(・・・・・)。真の覚醒をすれば、覇王になれるのです」



「人々の笑顔を守れるなら……心を守れるのなら……わたしは何にだってなれる」



「ギルドの受付嬢は、もう出来ないかもしれませんよ。それでもいいんですね」



 もう覚悟は決まっていた。


 たぶん、あの冒険に出た瞬間から。


 ルトくんと出逢ったあの瞬間から。



「はい」



「……分かりました。グレイス、貴女には『恩寵』と『栄光』を与えます。これが覇王としての最高にして最強の力」



 胸に手を当てられ、力を流し込まれた。


 あたたかい。


 まるで心を温められているような。


 そんなぬくもり。




「――――」




 そっか。

 わたしは、ギルドの受付嬢なんかじゃなかった。



 はじめから……

 覇王(・・)だったんだ。




 赤い力が、オーラがわたしを包む。




「…………」




 バリバリと覇王の力が生まれ、開花した。




 分かる。




 この力は、心の奥底に封じ込められていたんだ。理由は分からないけど、でも、ずっと『恩寵(おんちょう)』として残り続けていたのだ。




「グレイス?」



 アルムが心配そうに顔を覗かす。



「アルム、みんなを避難させて下さい」

「……分かりました。でも、その前にこれを」



 アルムから差し出されるアイテム。

 それは『紅蓮のバンテージ』だった。



 わたしが欲しかったやつ……アルム、買ってくれたんだ。



 それを受け取り、すぐに装着した。



 わたしの拳に『紅蓮』が宿った。

 赤い長い布が風でパタパタと揺れる。



 それから、改めてネメシスを見た。



「ネメシスさん、わたしはこの戦いを終わらせます。覇王聖女としての役目を果たします……!」

「ええ、終わったらまた冒険へ行きましょう」



 約束を交わし、わたしは一気に加速した。




 軽い、なんて軽いの。




「うわ、なんだ!?」「なんか、突っ込んできたぞ!?」「ええ!?」「なになに!?」「びっくりしたあ!!」




 驚く冒険者たち、ザンキがまだ十五は残っている。ただ、倒れているザンキが五で、倒し切れてはいない。



 でも、倒す必要はない。




『覇王爆炎拳――――――!!!!!』




 奥義を一振りするだけで、ザンキだけ(・・・・・)をぶっ飛ばした。しかも、ザンキは一瞬で色を変え、その姿を戻した。




 なんと冒険者の姿に戻ったのだ。




「あれ、俺……」「え、なんだこりゃああ!?」「僕たちどうしていたんだ?」「なんで、こんなところに」「ええ!?」「なんか人多くね!?」



 それから、



「わ、私はいったい……」



 エイルさんも元に戻っていた。


 良かった……。



「エイルさん」

「グ、グレイスか!? 私は……」

「ありがとう。そして、ごめんなさい」



 わたしはエイルさんに飛びついて、謝った。



「……グレイス、私を助けてくれたのか。こんな救いようのない私を」

「そんな事ありません。あなたは、今まで出会った中で最高の上司です」


「……グレイス」



 ぎゅっと抱きしめ合って、やっと和解した。


 その間にもソールが飛んできた。



 わたしはエイルさんを抱っこして、後退。



「エイルさん、下がって!」

「分かった。負けるんじゃないぞ、グレイス!!」


「ええ!!」



 それから、わたしはソールと対峙。



 全員、ぶっ倒します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ