50.レアアイテム『アンティークギア』
やっと気持ちが落ち着いた。
わたしはネメシスから離れようとしたのだけど――。
ずっと、ぎゅぅっとされて離れられなかった。わたしの顔はネメシスの胸に沈みっぱなし。柔らかくて天国のようだった。
でも、段々と息苦しくなってきて、そろそろ呼吸がしたかった。
「あ……あの、ネメシスさん……」
「ん?」
「ん、じゃなくて……離して?」
「もっと、わたくしを感じて下さいまし」
「嬉しいですけど……」
さっきからアルムがジッと見つめて来るし……。心なしかちょっと寂しそうだし……。
「アルムを放っておけないでしょう」
「そ、そうですね」
やっと離してくれた。
と同時に、アルムがアイテムをくれた。
「これは?」
「IBL5100のドロップ品です。グレイスに差し上げます」
でもこれって、あの執事のグラーフさんのモノじゃ……。いいのかなぁ。
「グラーフ氏からです」
「あ……そうなんだ」
プレゼントって事かな。
一応、貰っておこう。
「えーっと、アイテムの詳細は……」
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【アンティークギア】
【部位】中段
【Effect】
魔導ギアの髪飾り。
AGI + 10。
LUK + 10。
クリティカルダメージ + 10%。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
装備アイテムだったんだ。
クリティカル用かな。
――となると、わたしというよりはアルム向けかな。彼女はクリティカル型のようだし、うん、これはアルムのモノ。
「アルム、受け取って」
「……でも」
「いいの。効果を見ても、これはアルムの方がいいと思うの。だから使って下さい」
「……ありがとう」
嬉しそうにアイテムを受け取って、すぐ装備していた。
頭にギアが装着された。
へ~、意外と似合ってる。
「これで鍬のクリティカルダメージがプラスされたです!」
満面の笑み。
これほど喜ばれるとは!
と言っても、ボスモンスターを倒したのは、わたしではなく、あの執事のグラーフさんだけどね。
「帰りましょうか」
ネメシスが提案する。
「そうですね、久しぶりに濃い冒険が出来ましたし、満足ですっ! ネメシスさん、アルム、ありがとう」
お礼を言うと、二人とも照れくさそうにしていた。そして、サンクチュアリへ帰還した。
◆◇ ◆◇ ◆◇
――オラクル家の玄関前に帰還。
どうやら、ここがポイントに設定されているみたい。これは便利ね!
邸宅へ入って――自然と各々の部屋に戻って行った。
◆◇ ◆◇ ◆◇
まずは冒険の汗を流さなきゃ。
自分の部屋に入って、すぐに服を脱いだ。適当にベッドに投げて雑に置いた。もう疲れとかで丁寧に畳んでいる気力はなかった。
下着のまま浴室へ。
それから下着も籠に放り投げて、お風呂に――と、思ったのだけど……。
「…………」
なんか、視線を感じたような。
……き、気のせいよね。
たぶん、ネメシスかな……うん、きっとそう。
よね?
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