04.今日はお休み、冒険へ
草原フィールドも飽きたので、ワンランク上の荒野にやって来た。この都【メテンプリコーシス】の一帯には『草原』、『荒野』、『山脈』、『洞窟』の四つの基本狩場が存在していた。
中でも『草原』が初心者向け。
『荒野』が初心~中級者向け。
『山脈』が中級~上級者向け。
『洞窟』が上級~プロ向け。
こんな感じで分かりやすく区別されていた。
だから受付でもそのように説明している。
今日はひとり、荒野へ。
荒野といっても広大だ。危険なモンスターも生息し、時には自爆するヤツもいる。わたしは情報を持っているから、大丈夫。
「高レベルのゴーレムがいるレッドゾーンは避けましょう」
――なので、ブルーゾーンのゾンビを狩ってみることにした。ちなみに、フィールドは『ゾーン』分けされている。
【ブルー】……超安全
【グリーン】……安全
【レッド】……危険
【パープル】……超危険
【ブラック】……絶体絶命
【ゴールド】……レイドボス出現地帯
【レインボー】……神降臨儀式発生
これを覚えておけば、大体そのフィールドとかダンジョンの危険度が把握できる。これを目安に自身のレベルと合わせて向かえば問題ない。
ちなみに、ゴールド以上は滅多に起きない。
そんな風におさらいしながら、ゴツゴツとした足場の悪い荒野を歩いて行く。遮蔽物もないので風が心地よい。
剣士や商人など、かつて導いた見覚えのある冒険者たちともすれ違う。あの人も、この人も……冒険に出ているんだ!
「ん~、冒険のニオイ」
ぐっと身体を伸ばして、わたしは先を急ぐ。
ある大きな岩場に差し掛かると――1体のゾンビが恐ろしい形相で出現した。
「……いましたね」
グローブをはめて、戦闘準備。
拳を構え、まずは一撃。
「たぁっ!!」
ゾンビの腐った右腕に命中。
でもダメージはそれほどない。
次にゾンビは、わたしの腕に噛みつこうとする。
それに対し、新しく習得したスキルを発動した。
★★★ ★★★ ★★★
【Skill:ディバインナックル】Lv.1(Lv.5)
【Effect】
対象:敵
[打撃]発動後の連携攻撃。
敵に大きなダメージを与える。
[Lv.1]:物理攻撃力 + 50%
[Lv.2]:物理攻撃力 + 100%
[Lv.3]:物理攻撃力 + 150%
[Lv.4]:物理攻撃力 + 250%
[Lv.5]:物理攻撃力 + 300%
このスキルは[覚醒]すると威力が10倍になる。
★★★ ★★★ ★★★
拳に光が集中する。
ぎゅぅんと力が凝縮された。
それをゾンビの鳩尾に。
『――――ディバインナックル!!』
ドゴォォォォオと轟音を立てて、ゾンビは吹き飛び――大岩へ激突した。わたしはその威力に驚き、でも快感を得ていた。
「……うわぁ、このスキルえっぐ」
ゾンビは『腐った爪』をドロップ。
これはいらない……。
でも、経験値も獲得したし、またレベルアップ。
【Lv.4】→【Lv.5】
やはり、まだ低レベルなせいか上がりやすい。こうパンパン上がると楽しい。でも、レベル30以降は上がり辛いらしい。
ステータスも確認しておこう。
★★★ ★★★ ★★★
【Name:グレイス】【Lv.5】
【Status】
STR01 AGI01 VIT01
INT01 DEX01 LUK01
【Skill】
[受付嬢の心得] Lv.10(Max)
[打撃] Lv.2
[ディバインナックル] Lv.1
【装備】
[上段]:麦藁帽
[中段]:
[下段]:
[武器1]:オープンフィンガーグローブ(右)
[武器2]:オープンフィンガーグローブ(左)
[サブ武器]:
[盾]:
[鎧]:受付嬢の制服
[肩]:
[靴]:リボン&フリル付パンプス
[アクセサリー1]:
[アクセサリー2]:
★★★ ★★★ ★★★
あれから、スキルを振って[打撃]は『Lv.2』になった。おかげで物理攻撃のダメージが少し上がった。
……でも、そういえばステータスが上がっていないような。
「あ……」
そうだった。
ステータスは自分で振らなければいけないのだ。
勝手に割り振られるものではない。自分の合ったタイプを決め、戦闘スタイルを確立する。それが冒険者の基本だった。
ちなみにステータスは――
『STR』……物理攻撃力
『AGI』……素早さ
『VIT』……体力
『INT』……魔法攻撃力
『DEX』……命中率
『LUK』……運、クリティカル
と、各パラメータに直結する。
わたしの場合、接近物理職なので『STR』や『AGI』、『DEX』が重要になってくるだろう。その辺りをバランスよく振ればいい。
「うん、こんなところかな」
ステータスを割り振って、わたしは狩りを続けようとした――
「あれ……?」
誰かが大量のゾンビに襲われているような……?
って、こっち来るー!?