18.受付嬢もおしゃれしたい
キングス山脈の麓まで辿り着いた。
周囲は闇に包まれ、視界は中々に悪い。
それから山奥特有の突き刺さる肌寒さ。
こんな事なら、もうちょっと着込めば良かったなとわたしは後悔した。それに対比するようにネメシスは、まるで寒さを感じさせない……寧ろ凛々しい表情をしていた。なんであんなに生き生きと出来るのだろう。
「グレイス、わたくしは鍛え方が違うのです。貴女はまだ修行とかしていませんし、これからもっと強くなるのです。レベルアップすればきっとこの境地に辿り着けるはず」
「そ、そうなの?」
今まで受付嬢の仕事ばかりだったから、修行なんてイメージ出来ない。でもちょっと楽しそうかもと思う自分もいた。
「到着しましたよ、グレイスさん、ネメシスさん」
先頭を歩いていたアルムが振り向いた。
視界悪いのに歩くの早いなぁ。
スキルか何かで見えているのかも。
ていうか……
なんか頬張ってるし!
「なにを食べているのですか?」
「これは食べているのではありません」
「え……」
「咥えているのですよ。このアイテムは『魔除けの煙管』と言って、モンスターを寄せ付けにくくする装備品です」
それ装備品だったんだ……。
鍬といい煙管といい……このアルムは渋すぎる。前世はオジサンだったのかもしれない。
★★★ ★★★ ★★★
【Item】魔除けの煙管
【Position】下段
【Effect】
Lv.20以下のモンスターを
一定の確率で忌避する。
★★★ ★★★ ★★★
こんなアイテムもあるんだ。
ちょっと羨ましい。わたしも装備を揃えたい。
もっと豪華にしたい!
そういえば、ここ最近はずっと麦帽子とか制服とか見栄えもそれほど変わっていない。もうちょっとオシャレしないと女子として!
そうね、たまには洋服屋さんとかで見繕うかな。
――さて、ついに『バーバヤガー』の出現ポイントに辿り着いた。そこは、傾斜面になっていて……ちょっと崖っぽくて危険だった。
うわ、危なそう~。