16.初めてのパーティで冒険
【キングス山脈】
山脈までは『ペンタグラム』というテレポートアイテムを使った。これは、任意の方角へ一定の場所まで飛べる便利なアイテム。一個使えば『パーティ単位』で飛ばせるので、これで移動はラクチン。
――あ、そうそう。
わたしは初めて『パーティ』を組んだ。
パーティ名は……
「トリニティー」
「トリオパーティだから、トリニティーってことですね」
ネメシスは無邪気に微笑む。
決して嫌味はない。
「三位一体ですか、三者が心を合わせて一体になることですよね。素晴らしいセンシビリティーです」
ターコイズブルーがわたしを見た。
アルムのあの瞳は綺麗だなぁ。
ちょっと羨ましい。
「じゃあ、キングス山脈の麓までは少しあるから歩きましょう。わたしは初めて来るけど、知識だけはあるから」
そう、ギルドの受付嬢だから情報量だけは豊富。この辺りの地理とか詳しい。出現するモンスターだって――。
『――――グォォォォ!!』
そうそう、こんな『ゾンビウルフ』が……
「ゾンビウルフ!?」
うそ……。
こんなモンスター湧いたっけ!?
「グレイス。今は夜間ですから、出現するモンスターも変わるのですよ。さあ、構えて……相手は『Lv.35』ほどある危険な動物アンデット系」
既に準備万端のネメシスは、グローブを身に着け構えていた。……カッコいい。やっぱり、ネメシスは戦闘になると顔つきが変わる。
そして、アルム。
彼女もメイドながらも『鍬』を構えた。
なんだろう……似合わない筈なのに、すっごく似合ってる。あの独特な上段の構えも何故か様になっていた。ていうか、決まりすぎて怖い程だ。
――よし、わたしも。
ゾンビウルフは約10体。
こちらは3人。
初めてのパーティで緊張するけど……
でも大丈夫。皆で力を合わせればきっと……!




