10.聖女となり覚醒したようです
また騎士たちが向かってきた。
けれど、ネメシスはまた宙を舞い――スキルを発動した。
『奥義――――――覇王天翔拳!!!』
★★★ ★★★ ★★★
【Skill:覇王天翔拳】Lv.5(最大)
【Effect】
対象:敵/全体
全ての力を拳に集中し、
破壊的ダメージを与える奥義。
クリティカルダメージも存在する。
[Lv.1]:物理攻撃力 + 1000%
[Lv.2]:物理攻撃力 + 1500%
[Lv.3]:物理攻撃力 + 2000%
[Lv.4]:物理攻撃力 + 2500%
[Lv.5]:物理攻撃力 + 3000%
このスキルは[覚醒]すると威力が30倍になる。
★★★ ★★★ ★★★
大声でその奥義を繰り出すと――
蒼白い光が爆発し、それが敵へ。
騎士たちは呆気なく吹っ飛び、ゴロゴロと遠くへ飛ばされていった。威力は抑えていたみたい……でも凄い閃光。
「うわ…………なにこれ」
初めてみる稲妻のような光。
あまりに鮮烈で美しく……感動してしまった。
「いきましょう、グレイス」
「え……」
ぽかんとしていると、ネメシスはわたしの手を取って――逃げ出した。……かっこいい~~!
◆◇ ◆◇ ◆◇
ある森フィールドに入った。
都【メテンプリコーシス】からは遠い森。
「こんな場所はじめて……」
「グレイス」
ネメシスは、真剣な顔で青桃のオッドアイを向けてくる。
「はい……」
「あなたには聖女の素質があります」
「はい!? 聖女!?」
「ええ、それ自体はジョブに属するものではありませんが、強力なステータスです。このわたくしのように『奥義スキル』を習得できるのですよ」
え……さっきのあの奥義を!?
すごい、それすごい!
あんなのを覚えられたら、高難易度ダンジョンも潜れるだろうなぁ……と、わたしは妄想していた。
すると、ネメシスはパンと手を叩き、わたしの意識を戻した。
「グレイス……あなたは少しお疲れの様ですね。普段のお仕事が忙しいようだ。でも、あなたには本当の力があるのです。友のエイルは、それをわざと隠し……あなたを閉じ込めていたのですよ」
「……はい? とじ?」
うんとネメシスは頷く。
初耳~…。
わたし、閉じ込められていたの~!?
「グレイス、ひとつだけ聞きます。あなたは……ギルドの受付嬢をいつから?」
「え……それは…………」
考えたことも無かった。
いつの間にか目まぐるしい毎日を送って……
いつの間にか冒険者を導いて……
まるで……
NPCのように……
え…………わたし、今なんて……。
「やっと真実に気づいたようですね。あなたはずっと『ノンプレイヤーキャラ』という呪いに掛かっていました。……いえ、それ自体は悪いものではありません。むしろ、世界の闇を知らないだけ……幸せなことでしょう。ですが、真実から目を背けてはいけない……かつての父のように」
そこでネメシスは、悲しそうな顔をした。
過去に何かあったのだろうか。
それから話を続けた。
「よろしいですか。あなたは自ら『冒険に出たい』、『レベルを上げたい』、『スキルを振りたい』、など楽しみを知った。ですから、本来のあるべき自我を持った。あなたという本来の魂が宿ったのです。今はそのスタート地点。完璧ではないけれど……でも」
手を伸ばし、わたしの頬に触れてくる。
その掌はあたたかくて……人間の温もりだった。
「あなたは覚醒するのです。さあ――『聖女』の第一歩へ」
ふわっと光が輝いた。
わたしは白い光に包まれ――失っていた心を取り戻した。
「――――」
両手を握ったり開いたりする。
わたしは…………
「なにか変わったのですか……?」
ズルっとネメシスがコケた。
「あのですねぇ!? ……今、あなたのステータスは大幅に変化したのですよ。確認してみなさい」
そう指摘され、わたしはステータスを――
★★★ ★★★ ★★★
【Name:グレイス】【Lv.27】
【Class:聖女】
【Status】
STR19(+30) AGI36(+30) VIT1(+30)
INT01(+30) DEX10(+30) LUK1(+30)
【Skill】
[受付嬢の心得] Lv.10(Max)
[打撃] Lv.6
[ディバインナックル] Lv.3
[覇王爆炎拳]Lv.1
[覇王激流拳]Lv.1
[覇王天翔拳]Lv.1
[覇王岩礁拳]Lv.1
【装備】
[上段]:麦藁帽
[中段]:
[下段]:
[武器1]:オープンフィンガーグローブ(右)
[武器2]:オープンフィンガーグローブ(左)
[サブ武器]:
[盾]:
[鎧]:受付嬢の制服
[肩]:
[靴]:リボン&フリル付パンプス
[アクセサリー1]:
[アクセサリー2]:
★★★ ★★★ ★★★
レベルに変化ないけど、ステータスが……
なんかスゴイことになってる――――――!!
奥義も習得しちゃった……!
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