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人生に疲れた俺は、シェアハウスにラブコメを求めない  作者: 城野白
夏 1章 誘惑の多い季節ですが、共同生活は続きます。
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2話 ノーマル?

 三次元の面識がない女子とかいう、宇宙で一番興味の無い人種との合コンが決まったわけだが。決まってしまったわけだが。


「先輩はそのままで行くと大事故を起こす気がするので、練習が必要ですね」

「ああ。合コンごっこを穂村荘で開催すべきだ」

「おー。面白そうなことになってきたねえ」

「あら。合コン?」

「マヤさん帰ってきたぁぁぁあああ」


 玄関ドアを開け、爆速で状況を把握してニタァと俺を見て笑う。やばいぶっ殺されるかもしれない。


 と、いうわけで。

 合コンの事前練習。やるんだってさ。


「まずは自己紹介です。第一印象が大事ですよ」


 ぺしぺし膝を叩きながら、やけに乗り気な七瀬さん。


「うん。俺も第一印象って大事だと思うよ。誰の、どんな出会い方がなにとは言わないけどね」

「うっ……あれは忘れてください」


 関わらないでくださいだったっけか。けっこうな初対面を経験していると思う。


 くてっとテーブルに突っ伏して、七瀬さん脱落。


「トム先輩はふざけそうだからな。真面目にやったほうがいいとボクは思うぞ」

「君たち一回鏡見てきたら?」


「?」

「うん。その反応は予想できてた」


 きょとんとした宮野。こいつ……。いや、なにも言うまい。


「まあいいから、とりあえずやってみなさいよ。自己紹介」

「あ、はい」


 マヤさんに命じられ、咳払いを一つ。


「戸村真広です」

「零点ね」


「ジャッジ早っ!」

「あらそう。じゃあ、続けていいわよ」


「……ええと、趣味はゲームと読書です…………」



(完)



「真広。帰っていいわよ」

「ここ俺の家なんですけど!?」


 しまったとは思ったけどさ、でも実際、こんなもんじゃないんですか? 名前と趣味。それ以外に特記事項が思いつかない。


「と、トム先輩。ボクはゲーム好きだぞ」

「ありがとう……」


「わ、私も読書好きですよ!」

「ありがとう……」


 さっきは反撃してごめんね。君たちは正しいよ。全宇宙の法則だよ。


「はい戸村くん。お茶」

「つーか、なんで古河は練習してないんだよ」


「水希は顔パスに決まってるでしょ」

「まさかのVIP待遇」


「女子の世界で、合コンの十割は顔よ」

「現実って怖い」


 そんな競争社会で生きてるんですか皆さん。どうかご無事で……。あとできれば、マヤさん以外はそんな現実知らないで生きてほしい。


「ちなみになんですが、男に求められるものってなんですか?」


「顔ね」

「顔かー」


 どっちも変わらなくて草なんだ。


「あとは聞き上手ってことも大事だけど。それは真広なら問題ないでしょ」

「はぁ」


「次点でパリピ的なノリの良さだけど、それは他のメンバーに期待しなさい」

「俺のステータスで一番低いやつですね。了解です」


 ノリが悪いわけではないが、自分で空気を作ったりするのは苦手だ。下手すりゃ合コンなんて、隅っこで机の角囓ってたら終わる。俺はビーバー。ジャスティンじゃないほうの。


 となると、あとどうにかなるのは自己紹介か。

 ――って。


「なんで俺、モテにいこうとしてるんですか?」

「言ってなかったかしら。うちの外になら、彼女作っていいって」


 思わずずっこけてしまう俺。ごんっ、と机の天板に頭をぶつける。

 だが、音はそれだけではなかった。椅子がずれる音、机を叩く音、慌ただしい足音。俺以外に三つ、動揺の気配。


「ええと……俺、彼女作っていいんですか?」

「禁じた覚えはないわよ」


「いやいや。禁じましょうよそこは。アイドルくらい厳しくいきましょうよ」

「冗談よ。ダメではないけど、作ったら大変でしょ?」


「ですよねー」


 彼女に今の生活どうやって説明しろって言うんだよ。女子と共同生活してます。夜とかもけっこうお話ししたり、あ、沖縄旅行も一緒に行くんだぜ(キラッ)って。サイコパスじゃんそんなん。


「ち、ちなみに……先輩の好みの女性って」

「あ、ああ……十二歳以下の女子だったか」

「待て待て待て。なんでそれが三次元にも適用されてんだよ。そういう人を否定はしないが、俺はもうちょっとノーマルだぞ」


 流れで恐ろしいことになりそうだったので、どうにか否定する。


「ノーマル?」

「ノーマル、ときたか」

「ノーマルねえ」

「ふーん」


 ここに揃った女子四人。そろってふむふむと頷く。

 そして一斉に自分の体を抱き、一歩後ずさる。


「「「「それって――」」」」


「言っとくけど全員だいぶ普通じゃないからな!」


 なんでこの人達、自分がおかしくないと思ってんの?

 解散。解散だばかやろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] JCJKはともかく、JDも動揺するのか… なら、そもさそうな、と/w 女子陣も、合コンうまく行ったら困るだろうに、アドバイスなんてしていいのか、と。まあ、アドバイスでなくけなしているだけのよ…
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