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晴れ間を覗く.1

なんてことない、日常の一幕


前略、わたし、衣川愛華きぬがわあいかは幼馴染の玲奈が好きだ。


いつも能天気に笑って過ごすのを見ると暖かくなるし、

あの子の隣にいるのがわたしじゃないと、少しモヤモヤする。

二人でゆっくり過ごす時間がとても落ち着く。


この気持ちに気付いたのは極々最近のこと。

だけど、この気持ちをあの子に伝えるつもりも、勇気も、

今のわたしにはない。


「あ、愛華いたー!おまたせ〜」


学校の正門で携帯を弄りながら待っていたわたしに、グラウンドから駆け寄ってくる玲奈が見える


「特に待ってはないけど、出来れば次はもう少し早くね」


「えへへ、ごめん」


笑顔と太陽がよく似合うこの子の心に、陰鬱なわたしが

余計な波風を立てたせいで、淀んだ雲をかけてしまうのは嫌なんだ


「とにかく、お疲れ様。はいこれ」


「あ、ありがと〜!」


補修終わりで疲れているだろう愛華にお茶を渡す

わたしの大好きな藤鷹だ


「うへぇ〜、苦い〜」


「それくらい飲めるようになりなさい…もう17時過ぎだし、それ飲んだら早く帰りましょう。補修は今日で終わりなんでしょう?」


玲奈は運動は出来るけど、勉強の方が少し苦手で補修のぷち常連になっている。

…テストの2回に1回は補修してるんじゃないかしらこの子


「いやぁ〜…それが今日の補テスで合格が貰えなくて…ですねぇ…」


「……それで?」


「そのぉ…明日もちょっと追加で補修になっちゃいまして…」


「明日は土曜日で半日だから、お買い物に行こうって言ったのは玲奈よね?」


「ごめんなさいっ!!なんとか早目に終わらせます!」


まぁ、そもそも赤点で補修になって復習もあまり出来てないのに

一回で抜け出す方が珍しいし…仕方ないか


「はぁ…急ぐとミスして余計に時間掛かるでしょ。ゆっくりでいいわよ」


「で、でもそれだとお昼過ぎちゃうし…あんまり長く遊べないし…」


「明日じゃなきゃ遊べない訳じゃないし、なんなら明後日は日曜なんだから泊まっていけばいいんじゃない?」


多分玲奈なら、お母さんも二つ返事でOKくれるでしょうしね


「お、お泊り!?いいの!?」


「そんなに驚く事かしら、中学の頃はよく泊まってたじゃない」


確か隔週くらいで泊まってたはず

土曜に遊ぶって言いだしたら、お泊りセットを持ってくるものだから

なし崩し的に泊まって遊んでた


「その…高校入ってから愛華ともあんま遊べてなかったし…お泊りなんてもっとしてなかったし…」


「学校ではほとんど喋ってるし、登下校も一緒じゃない。家族より長く一緒にいると思うけど?」


「そういうのとは…違うのです…よ…その…」


「まぁ、確かに放課後遊ぶっていうのは久しぶりかしらね。わたしも玲奈も部活があったし」


「わ、私はまだ辞めてないんですけど〜!」


「はいはい、補修幽霊さん、早く帰りますよ〜」


部活に行きたくても補修で行けない半分幽霊さんを置いて歩きだす


「ま、待ってよ愛華〜!」


「これ以上遅くなったら夕ご飯減っちゃうから嫌よ」


「変なとこで食いしん坊だねほんとに!」


誰のせいで遅くなってると…


「あ〜!ごめんなさい〜!置いてかないで〜!」


慌ててカバンを持ち直して追いかけてくる玲奈を盗み見て、少し笑う

あの子との距離はこのぐらいが良いのだ。


「あーはしりたくなってきたわー!」


「棒読みで走りださないで〜!」


心地よくて嬉しくて

けれど自覚した気持ちには蓋をして

近すぎず、遠すぎず

いつかわたしにも、転機というものが訪れたなら、言えるかもしれない


その時までは、このままで

あの太陽に憧れていたい




「はぁ…はぁ…ねぇ、玲奈」



「なに?愛華」



「この体力オバケ」







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