ホワイトスクール6
定期テスト……
退屈な四時間目が終わり、飯を食べようと赤茶の髪と金髪を探していたら、水無月と目があって、彼女はいそいそとこちらに近づいてくる。
「ごめん新堂、私と三角、今日部活のミーティングあるからパスで」
「ああ、そう。了解」
「うわ、冷た。ってか私達が消えたら新堂ぼっち飯じゃない?どこでご飯食べるの?トイレ?」
「なんでぼっち飯の場所がトイレに限られてんだよ。屋上で食うよ、確か佐藤もいたしな」
水無月は渋い顔になる。こいつもまだあいつの評判に怯えているのだろうか。
「ああ、佐藤くんね……。おっけ、分かった。じゃあ三角、行こっか」
「俺は行かんぞ?」
いつの間にか俺の机に弁当を広げていた三角が、呆れ交れに答える。
「前々から思っていたんだが、お前人の話を聞かなさすぎだ。今回のミーティングはレギュラーの番号決めだろうが」
「じゃあなおさら行かなきゃじゃない」
「新堂みたいなこと言うな、美奈……葬式レベルの雰囲気になるわ」
「……うわ、その例えはちょっとショックかも」
どっちの例えだよ、と突っ込む。それをスルーし、美奈は時計を見上げた。
「あ、もう行かなきゃ。じゃね」
女は二人集まっても、実はそんなに五月蝿くない。あいつ等が本領を発揮するのは三人からだ。これは女を二つ並べた漢字はないものの3つ並べたら姦しいという漢字になることから自明であろう。
取り留めのないことを俺らは話していた。
「なら男二つならなんて読むんだろうな」
俺が提言すると、三角は適当に相槌を返して来た。
「そりゃもう、「男男」するで、猥談する、だろ」
「だろーな。男子の悲しい習性だ」
「だがな、俺が思うに、猥談っていうのは本能じゃない。あれは、自分は人とは違うってことをアピールするための手段に過ぎないって俺は考えてる」
ははぁ。三角が少し力を込めて喋ってきたことで俺も多少は聞く気になった。
「じゃあ何か、お前は猥談否定派なのか?」
「いや、別に。ただ自分の趣味を他人に話すことに違和感を感じるだけだ」
趣味ねぇ。
そんな大層な趣味でない限り、別に何も思わないが。この学校だし。
「まぁ、お前がペドフィリアだってことは知らなかった」
「ちげぇよ阿呆」
「じゃあニンフォフィリアか?おいおい、まさかジェロンドフィリアとか言うなよ。付き合いを考えていかなきゃならんくなる」
「最後のは何かわからんが多分違うことはわかる。つーかおまえ詳しいな」
「一時期調べてたんだよ」
奴はうへぇ、と言い顔をしかめて机を少し後ろにずらした。
「ワンチャン俺の異常性癖も知ってるんじゃねぇのか」
「……え?教えてくれるのか?」
「馬鹿いえ。自分で探せ。当たってたら当たってるって言ってやるよ」
おお。それは大盤振る舞いだな。かなり興味があったので、俺は真剣に考えることにした。まずはこいつの外見をじっくり観察してみることにする。
金色のヤンキーみたいな髪に、端正だがそこまで突出しているほどではない顔。サッカー部らしく引き締まっている体、健康的に焼けた肌。性格については、まぁ、凡庸。
……やべぇな、全くと言っていいほど手がかりがない。
「そもそも外見だけで判別できたら世話ないんだよなぁ」
三角は笑った。
「それな。第一この学校は見た目は普通な奴が多いんだ」
そう。確かに、見かけの光景だけではこの高校を異常と判別することはできないに違いない。……いや、会話を聞いても、そこまで異常とは思えないのだ。ただの、生徒が不真面目な高校に過ぎない。
誰もが自分をひけらかしたいというわけではない。ましてやそれが異常だと他者から認められれば尚更。海道や佐藤などは実は特例なのだ。




