ホワイトスクール 2
誰か感想ください…
学生のため更新遅いです
「新堂、聞いてるの?」
ぼぉっとしていると水無月が横目で睨んできた。胸元まで伸びている髪は、健康的に赤茶けている。切れ長の鋭い、だがどことなく優しそうな瞳に、小さな卵型の顔。やっぱり、アニメとかで図書室にいる文学少女を徹底的に陽気にさせたみたいな顔だな、と思う。いかにも第一カーストです、みたいな顔だ。
「きいてるきいてる。アレのことだろ」
そう、アレのことね。アレがこれでそれになってその結果ナニになるまである。日本語の代名詞マジで汎用性高すぎィ!
「嘘くさ……真、お前嘘とかつけないタイプだろ」
三角が呆れたような表情をする。適当に染めた金髪で、サッカー部としてはあるまじき姿だ。知らんが。ちなみにうちのサッカー部はやたら強い。そしてこいつは補欠。「補欠なら丸坊主にしろ」とこいつに言うとキレるのはこいつも内心気にしている証左なのだろうか。ちなみに顔はそこそこ整っていて、浅黒くいかにもスポーツマン的な風貌なので逆に俺がキレそうなまである。
「何言ってんの三角。めっちゃついてるじゃないこいつ。」
水無月は呆れたように頭を振る。
「おい、それ実際にやられるとまぁまぁ腹立つぞ」
「今のは皮肉だ、美奈」
好き勝手言うなコイツら。俺は三角と水無月を半眼でにらむ。
「馬鹿かお前ら、嘘は社会の潤滑油っていうの知らねぇのかよ」「そう言うやつよくいるけどさ、さっき嘘つくことにより何かがうまく行った?」
「俺は別に嘘ついてないけどな」
何なら真実すら言ってないまである。
水無月は話を振り返り、嘆息する。
「……確かにそうね」
「こういう逃げ道を作るの本当お前上手いよな」
「別に俺は逃げてないんだが……」
むしろお前らが追い込んできたんだろ。それにしてもそんなに俺を悪人にしたいの?かわいそう俺。
「で、なんの話だったん?」
「やっぱり聞いてなかったんじゃない……」
水無月が肩をすくめる。結構ムカつくなその仕草。第一まじでそんなことやる奴アメリカ人以外に見たことない。アメリカ人って異議があるたびに肩をすくめるのだろうか。すげぇ肩凝りそう。
「新堂もどこかの部活に入ったらどうかっていう話をしていたのよ」
「そうそう。……これだけ間近で自分の話されてても気にもしないってお前ある意味凄いな」
「うっさい。お前皮肉しか言えないのかよ。もっと褒めて伸ばす方針で行こうぜ」
「褒めて伸びるようならそうするがな」
……一理ある。俺は褒められたら伸びない。そこで成長がストップしてしまう。自分ではしっかり分かっている。だけど自分で分かってることを他人に言われたらムカつくんだよ?
「どう?新堂?」
わりかしガチっぽく水無月が聞いてくる。
「あー、文芸部とかならワンチャンある」
「幽霊部員になる気まんまんだな…出来れば運動部の方がいいんじゃないか?ほら、辛くて苦しい練習を乗り越えれば友達ができるとか」
「文化部差別じゃねぇか。吹奏楽部だって大変だって聞いたことあるぞ」
ソースはけいおん。まぁけいおん吹奏楽じゃねぇけど。すると三角は溜息をつく。
「ならお前は楽器を吹けるのか?」
「いや……」
「なら黙ってなさいよ…」
ごもっともです。俺減らず口叩きすぎだろ。
「サッカー部とかどうなんだ?たしか真って運動神経悪くなかったよな」
「ああ、大体のスポーツならできる」
「わぁーすごいすごい」
水無月がペチペチと拍手をしてきた。なに、今日俺体でからかわれること多くない?それにしても体でからかうって表現すげぇ卑猥。
「全然褒められてる気がしないんだが……」
「だって褒めてないもの」
「そうですか…つーか俺は部活に入る気はないからな。サッカー部とかパリピの集合体っぽいし、女マネビッチ多くて怖そうだし」
サッカー部である三角とその女マネの水無月は思わず顔を見合わせる。
「……お前俺らの部活知ってる?」
「気にするな、ただの皮肉だ」
「あーそう、よかったー……ってなるわけないでしょ」
水無月に軽く頭を叩かれる。俺は彼女をちろっと睨む。少し照れながら。それと同時にチャイムがなった。烏の歌。毎度思うが昼休みの終わりの曲にこれをチョイスするセンスがやばい。
「次なんだったっけ」
「英語だと思うよ。じゃ、私予習やらなきゃ」
そう言い水無月は駆けていく。付いて行きそうになる視線を振り切って、残ったのは俺と三角のみ。
「俺的にはお前がサッカー部に入ってほしいんだがな」
「馬鹿いえ。あのノリに合わせるのは無理だ」
「そうじゃねぇよ。……水無月と長くいれるだろ、お前が」
からかうように三角は俺を見て笑う。つい頬が赤く染まる。
俺が彼女に抱く気持ちが、淡く朧気ながらもそれであることを、俺は自覚している。そして三角はそれに気づいていた。
「関係ないだろ」
「まぁな。……それにしてもなんで水無月俺らに絡んでくるんだろうな」
「またそのネタかよ」
俺はうんざりしていう。
「お前もカースト意識の強いやつだな。言わんとしてることはわかるが……」
「だろ?帰宅部のお前とサッカー部の低カーストの俺だぞ?」「自覚はあったんだな」
「自意識過剰なだけだ」
「だな。……まぁだからあれだ、モテない男子の、夢も希望もあるんだろ。今はこの幸福に浸ってようぜ」
「それもそうか」
俺こと新堂真、サッカー部の自称低カースト三角澄、そして女子サッカー部男子マネージャーの紛うことなき上位カーストの一角を占める、水無月美奈。俺らの中にどのような繋がりがあるのかは知らない。興味もない。なぜ彼らがこんな学校に来たのか、その理由も経緯も気にもしていない。
ただ、俺はこの関係が気に入っていた。そして。ずっとこの関係が続くと、この学校の身で、そう、希っていた。




