ホワイトスクール 1
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この駅で降りるのはある高校だけだった。もしかしたら高校ですらないかもしれない。高校というのは学ぶ場所だが、俺はここで学ぶことなんてない。ホワイトスクール駅とかいう馬鹿みたいな名前をつけられた駅で降車する。
周囲のまともな高校生が、アイツホワイトスクールか、という蔑視の目で俺を見る。鬱陶しい。睨みつけると彼らは目をそらした。蛇に見込まれた蛙のようだ。まぁなんかこいつら蛙に似てるし。なんでこんなjkって肌ツヤツヤしてんの?粘液でも出してんのかよ。流石両生類だな。片や蛇は爬虫類なのでこいつらよりグレードが落ちる可能性がある。
ホワイトスクール。名前からしてホワイト企業を想起させすぎて逆にブラック企業感がひしひしと伝わってくる。外見は至って平均的な高校だ。登校してくる生徒もそこまでタガの外れたやつはいないように見受けられる。しかしそれは誤解だ。外見では内面は測れないのは道理。この高校も。外の人間は誰も、中で行われていることを知らない。例えばあのガラス全てが強化ガラスだということすら。
校門に入るとあいも変わらずの光景が目に飛び込んできた。ある生徒が用務員と思われる男性を殴っていた。周りには血が飛び散っていて、相当殴られたのだということがわかる。
「は、ひゅるして」
歯もおられているのだろうか。用務員の男性の情けない悲鳴と懇願。しかしその男子生徒は暴力を振るうのをやめやしなかった。男性の腹を勢いよく殴ると朝ごはんだろうか、茶色い個体と液体が口から吹き出された。
これが普通の光景だった。そしていつものように、俺の横を通っているギャルも、俺の横にいるオタクな男子生徒も、誰一人としてこの光景に目を止めようとしない。ひどく耳障りな用務員の悲鳴に耳をかさない。なぜなら、知っているから。ここでいらないことをすれば次にそうなるのは自分だからと。
海道。それが彼の名だった。そしてそれよりさらに重要な彼の特性。
彼は嗜虐嗜好だった。俗に言うサディスト。もっと言うならば他人の痛みに共感できないので、、サイコパスも少し混ざっているのかもしれない。入学当初には彼は本性を隠し、極めて模範的な生徒として振る舞っていたのだが、隠す必要のないことを知った今では、取り繕うことをしない。ロシア系の血が混ざった彼の端正な顔は、暴力に浮かれているようには到底見えず、なすべきことをなしているといったような風ですらあった。
この学校には、彼のような人間がたくさんいる。サディスト、サイコパス、ソシオパス、マゾヒスト。変わったところでは猥語嗜好のコプロラリアなんてのもいる。暴力事件もあるし、強姦未遂もたまにある。
この学校では感情が必要ない。他人の痛みなど感じる必要がない。俺にとってそれは、何にも変えがたい幸福だった。皆同じような人間だから。糾弾されることがないから。
最終的に自分と自分の友達さえ守れれば。




