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それから私、もといレイチェルはマコト様に宥められながら部屋に戻った。
当初の私の予定であったアックドーイ公爵の暗殺は、見事マコト様に阻止されました。
まさか、レイチェルが前面に出てくるなんて思ってもみなかったしね。
マコト様もレイチェルが私の中にいるということは知っていたのだろうか。
知っていて、レイチェルを表に出したのだろうか。
それは、私ではよくわからない。
ただ、私の中のレイチェルは安心したように眠っているようだった。
着替えてベッドに潜り込む間もレイチェルの意識が私の意識を奪うようなことはなかったし、私の身体も私が意識した以外で勝手に動くようなこともなかった。
レイチェルはずっと苦しんでいたのだろう。
皇太子妃になることと、エドワード様からの愛が本物かどうかということがわからなくて、ずっともがき苦しんでいたのだろう。
まあ、それもこれもエドワード様がレイチェルにちゃんと言葉で伝えなかったことが原因としか思えないけれども。
マコト様とエドワード様の関係が心配だったのなら、レイチェルもエドワード様を信頼して、尋ねればよかったのだ。
『マコト様との関係を教えてください。』と。
それをしなかったから、今すれ違いに発展しているのだろう。
まあ、ユキ様が引っ掻き回したっていうのもあるかもしれないけれども。
皆が皆すれ違ってしまっていたのだ。
レイチェルもきっと、エドワード様との誤解が解ければ元の身体に戻れるんじゃないかなと思う。
彼女たちの子供もいるしね。
私は、教会の孤児たちと、レイチェルの進む未来が明るいことを部屋の窓から見える一際輝きを放つ星に願ってから、ベッドに横になった。
「おはようございます。ライラさん。アックドーイ公爵ですが、本日身柄を拘束することになりましたよ。」
いつもより少し寝坊をしてしまった私は、部屋から出たところで、マコト様に声をかけられた。
どうやら、マコト様はアックドーイ公爵の件をいち早く私に伝えたくて部屋の前で待っていたようだ。
そう言えば、マコト様は男の人だった。
………?
ちょっと待って!
今までマコト様は女性だとばかり思っていたから気にしてなかったけれども、男女が一つ屋根の下で暮らすってまずいんじゃないの!?
いくら私の監視があるからと言っても、マコト様の名誉が傷ついてしまうではないか。
「マ、マコト様。私、貴方が男性だって知らなかったのよ。だから、一緒の家に住んでるけれども、これはとてもマズイことだと思うの。マコト様の名誉を傷つけてしまうんじゃないかと心配だわ。」
意を決して告げる。
マコト様は驚いたように目を見開いた。




