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それからの日々はマコト様が用意してくれた家と古びた教会に通う毎日だった。
教会でメリルちゃんのリハビリを手伝ったり、ライムちゃんやカエデ君をはじめとする孤児と一緒に遊んだりする日々は今まで生きてきた中で一番充実していた。
ずっとこのまま時が過ぎれば良いとさえ思っていた。
でも、私が暗殺者だった事実は誰にも変えることができない。
「ライラさん。最近良い顔をするようになりましたね。」
いつも通り教会に向かおうと家を出たタイミングで、マコト様に声をかけられた。
そう言えばマコト様は私の監視役だったと思い出した。
普段あんまり私のやることに対して口出しをしてこないから、監視されているという実感がない。
「ええ。楽しいことを見つけたの。」
「そうですか。それはよかった。」
マコト様はそう言って優しく微笑んだ。その微笑みに何故か、胸がドキッと高鳴ったような気がした。
マコト様は女性なのに。
エドワード様の子供を産んだ女性なのに。
エドワード様がマコト様を気に入っているのもわかるような気がする。
「ライラさん。私も一緒に行ってもいいですか?貴女がそのように楽しそうな顔をする理由が知りたいのです。」
「え?」
マコト様は私の監視をしているから、私がどこで何をしているか知っているんじゃないの・・・?
「ふふふ。ライラさんのその表情も無防備で可愛らしいですね。」
「なっ・・・。」
笑いかけてくるマコト様の表情は反則だ。そして、その柔らかい声で可愛いだなんて言われたら恥ずかしくてどうしていいかわからなくなる。
それに、可愛いだなんて言われたのははじめてのことだし。
「さ、ライラさん。早く行きましょう。」
そう言ってマコト様は私の手をとった。そのまま家を出る。
手を繋いだまま、教会に向かう。
私をリードするように歩くマコト様は私の行き先をしっかりと把握していたようだ。
「少し、急ぎますよ。」
「え・・・。」
言うが早いか、マコト様は歩くスピードをあげる。
なぜ?
教会は逃げないのに。
いつもより早いくらいの時間なのに。
マコト様についていくのがやっとのくらいの早さだ。小走りにならないとついていくことがままならない。
「マコト様っ?どうして、そんなに急ぐのですか?」
小走りになりながら、マコト様の後を追う。
「早くしないと、ライラさんが後悔することになりかねませんから。すみませんが、急ぎますよ。」
私が後悔することになるってどういうことだろうか?
教会に向かっているんだよね・・・?




