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皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした  作者: 葉柚


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しばらく、エドワード様を優しく抱き締めていると徐々に落ち着きを取り戻したようで、ぐいっと身体を押された。

抗わないように、ゆっくりとエドワード様から離れる。

先程までこの腕の中にあった体温が離れていくのは、少し寂しかった。


「すまない。ありがとう。」


「いいえ。レイチェルは大丈夫ですから、ご安心ください。」


「………ああ。」


まだ、落ち込んではいるが、大人しく頷いているエドワード様。

その瞳は、こちらをじっと見つめていた。


「どうされましたか?」


「いいや。君がなぜ、レイチェルのことを知っているのかと思って………。」


エドワード様のその言葉にドキッとする。


「エドワード様がそんなに想われているのです。大丈夫じゃないなんてことはありません。」


「………そうか。君がいてくれてよかったよ。」


そう言ってエドワード様はこの国で再会してから、初めて微笑んだ。

その笑みはどこか痛々しくもあったけど、今までのような無表情でないことに安心する。


「もったいないお言葉でございます。」


私がレイチェルなのだと言ったら信じてくれるのでしょうか。

それとも、私がレイチェルだと知ったら混乱してしまうだろうか。私の身体は大丈夫なのかと。


「君は不思議だ。会ったばかりだというのに、なぜか安心する。レイチェルといるみたいだ。」


「!!」


エドワード様!!

これは、私がレイチェルだと告げた方がいいのでしょうか。


「あ、あの………。」


「………ああ、わかった。あと2日で国境だ。………ああ。頼む。」


思いきって告げてしまおうかと思って声を出したが、どうやらエドワード様は誰かと念話しているようだった。

グッドタイミングすぎだわ。

それから、しばらくエドワード様は誰かと念話していた。

私はレイチェルだということを話す切っ掛けを失ってしまった。


「………!?あぶない!!」


「なっ!?」


エドワード様が念話に集中していると不意に後方に殺気を感じて、慌ててエドワード様に覆い被さる。

咄嗟にしゃがんだ瞬間に、肩のあたりを何かがかすっていった。


「………っ!」


鈍い痛みを左の肩に感じる。


「何者だっ!!」


エドワード様が立ち上がり剣を鞘から抜き構える。

私たちは5人の黒装束の人たちに囲まれていた。

鋭い殺気が放たれる。

エドワード様は私を庇うように背中に隠す。

肩の鈍い痛みはまだ続いていた。それどころか、次第に左手が痺れてくる。

まさか、毒?

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