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皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした  作者: 葉柚


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エドワード様の服を買いに街を足早に歩く。


早く買ってエドワード様の元に戻らなければ。


私の足はまっすぐ街の片隅にある洋品店に向かって歩いていた。


この街には来た事もないのに不思議なことである。


それほど時間もかけずに洋服を売っている洋品店に辿り着くことができた。


そこは、庶民が利用している洋品店であり、エドワード様のような王族が着るような服は売っていない。


ただ、このままハズラットーン大帝国に帰るのであれば、他者の目を暗ますためにも、一般的な平民の服を着た方がいいだろう。


ごくごく一般的な平民の服を選び会計を済ませる。


初めて自分から服を買うという経験をすることにドキドキしながら購入した。


意外とすんなりと服が買えたことにはとても驚いた。


もうちょっと、自分でも服を買うのに苦戦をするかと思ったのだが、なぜだか身体が自然に動いて必要な服を手に取り、レジに向かっていた。


支払った金額はエドワード様が持たせてくださったお金の10分の1にも満たなかった。


受け取った服を両手で抱えるようにして、エドワード様と別れた森に向かう。






「エドワード様。」


小声でエドワード様の名を呼ぶが返事はなく、鳥の鳴き声だけが微かに聞こえてきた。


「エドワード様・・・。」


森を歩きながらエドワード様を探す。


もしかして、服を買いに行っている間に置いて行かれてしまったのだろうかと不安に思う。


エドワード様は血を大量に失ったことによって貧血になっているのか、時折ふらっと眩暈を感じているようだった。そのような身体で、誰の支えもなく歩いて国まで帰るなんて自殺行為だ。


服を買いに行ってからまだそれほど時間は経っていないはず。


空を見上げ太陽の方向と現在の時間を確認し、ハズラットーン大帝国の大まかな方向を確認する。


足早に森の中を歩く。


不思議と森の中を歩くことにも苦戦しなかった。


まるで、普段から森の中を歩いていたかのように自然に歩くことができた。


今まで森の中など歩いたこともないのに。


むしろ、整備された王都の道しか歩いたことがない。


そういえば、私はなぜ太陽の位置と現在の時間だけで方角がわかったのだろうか。


まるで、時々誰かが私に乗り移っているかのように私の意志や身体が動くのだ。


って、乗り移っているのは私だけれども。


ということは、この身体の持ち主が私を無意識に動かしている?





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