表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした  作者: 葉柚


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/147

37


「レイチェルっ!!レイチェルっ!!」


気がつけば私は、私にすがり付きながら泣いているユキ様の姿を上から見下ろしていた。

あれ?

私、なぜそこに寝ているのに、自分の姿まで見下ろすことができるのだろうか。

マリアンヌ様も青い顔をして、私の名を呼んでいる。

マリアンヌ様が私の胸に手をあてる。その手から温かい光が柔らかく放たれる。

その光が私の胸に吸い込まれていく。


「………あんたまだ自分の子も抱き締めてないんだよ。まだ逝くには早いよ。」


アンリ様が、私の産んだ子を抱きながら小さく呟いた。

私の産んだ子は、エドワード様や私と同じ黄金色の髪をもっていた。

顔は、アンリ様の腕の中にいるので見ることができない。

エドワード様と私、どちらに似たのかしら。

顔を見せて?

ふよふよと、我が子の傍に近寄る。ふいに、アンリ様の腕の中の我が子が、こちらを向いた。


「ふぇえええ。」


顔をくしゃくしゃにして、泣く我が子の頭を優しく撫でようとするが、何故かさわれなかった。


『どうしてなの………。』


アンリ様もマリアンヌ様も、ユキ様も泣き出しそうな顔をしている。

そして、寝ている私。

もしかして、私は死んだのかしら?

実感はわかないけれど。


「マコト!レイチェルが!レイチェルが!!」


『ユキ、落ち着いて。レイチェル様に何があったの?』


ユキ様は泣きながらマコト様に念話をしているようだ。

あれ?

いつもは聞こえないはずの、マコト様の声が私にも聞こえる。

不思議。


「レイチェルが赤ちゃんを産んだの。でも、レイチェルの出血量が多くて………。心臓が止まったわ。」


ユキ様がしゃくりあげながら、マコト様に告げる。その内容に私はビクリッと震え上がった。

やっぱり、私は死んだの?


『ユキ、………レイチェル様は亡くなったの?』


マコト様の声が震える。


「いいえ。マリアンヌが蘇生してくれたわ。でも、意識が戻らないの。どうしよう………。」


『そんなバカな………。』


「こんなのシナリオにはなかったわ!!」


ユキ様もマコト様も、私が瀕死の状態であることを嘆いているようだ。

私もまだ死ねないわ。

だって、赤ちゃんをまだ抱き締めてないもの。それに、名前だってまだつけてあげられていない。


『最悪だ………第二部のシナリオに似たような展開があった………。』


「えっ?」


マコト様の言葉にユキ様は顔をあげる。第二部のシナリオっていったい何!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ