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「マコト様は、ここに残るのですか………?」
恐る恐る口に出す。
どうして、マコト様は残るの?
逃げるのであれば一緒じゃないの?
疑問ばかりが頭に浮かんでは消える。
「ええ。私には魔道具がありますから。ここにいて、やるべきことがあるのです。」
「………やるべきこと、とは?」
微笑んで告げるマコト様に、質問で返す。マコト様はいったい何をしようと言うのか。やるべきこととはいったい何なのか。
マコト様がエドワード様の隣に私の代わりに並立つってこと?
でも、確か、マコト様はエドワード様とは結婚できなかったはず。
何故だったかは忘れてしまったけれど。
「それは秘密です。」
「そうですか。」
マコト様はにっこりと作り物の笑みを浮かべるだけで何をなそうと思っているのかは教えてくれなかった。
「それにこれは、エドワード様のためでもあります。エドワード様に極秘にと頼まれたことですので、申し訳ありませんが教えられません。」
マコト様の目には強い意思の光が浮かんでいた。きっとこれ以上聞いたところで何も教えてくれないだろう。
きっと、笑顔で全部かわしてしまうのだろう。そう思わせるような笑みだった。
「そう。エドワード様に信頼されているのね。私にはなにかお手伝いできることはないのかしら?」
エドワード様はやっぱりマコト様に心変わりされてしまったのだろうか。
あの夢と同じく私の代わりにマコト様を側に置きたいと考えているのだろうか。
「レイチェル様にできることは・・・無事に逃げて生き延びることだけです。」
「っ!!」
私はここにいては・・・エドワード様のそばにいてはいけないの?
マコト様から言われた言葉に酷く傷つく自分がいた。
エドワード様のそばから逃げたいと思っていたが、いざ私にできることはエドワード様のそばから逃げるだけとは・・・。
エドワード様が必要としているのはマコト様だけ。私は不要な存在。そう言われているような気がした。
「逃げてください。レイチェル様。あなた様は私たちの希望なのです。」




