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「ねえ、ユキ様。やっぱり私はエドワード様に嫌われているのかしら。」
ポロリっと目から涙が勝手にこぼれ落ちる。人前で泣いてはいけない。そう、教わってきたはずなのに。
なぜか、ユキ様の前だと涙がこぼれ落ちてしまった。
「・・・マコトよくやったわ。」
「えっ?」
ユキ様がなにやら小声でささやいたようだが、私には聞き取れなかった。
それでも、はらはらと涙を溢している私の頭に手をあててゆっくり髪を撫でてくるユキ様。
「大丈夫よ。レイチェル。レイチェルはエドワードなんていなくても幸せになれるんだから。幸せにしてあげるわ。私とマコトで!」
ユキ様は力強くそう告げられた。
何故かその言葉に安心してしまう私がいた。でも、ユキ様がそう言うってことは、やっぱり私はエドワード様に嫌われているのね。
「もう少し、待って。もう少しで準備が整うわ。そうしたら、エドワードから逃げましょう!」
「えっ・・・。」
やっぱりエドワード様から逃げなければならないの。
それほどまでに、私は嫌われているのかしら。
ユキ様は私の味方になってくださるとおっしゃってくださった。その言葉は私を安心させてくれた。
でも、本当にこのままエドワード様から逃げ出してもいいのだろうか。
本当に夢と同じなのだろうか。
「レイチェル様。ユキに何を言われたのかわかりませんが、あまりふさぎ込まないでください。」
ユキ様が「準備があるからまたね!」と去っていったすぐ後に、マコト様がやってきた。
私と目を合わせて優しく微笑んだマコト様は、あやすように優しく私を慰めてくれた。
「マコト様。私は・・・エドワード様を信じきれないのです。」
不思議とユキ様と同じくマコト様にも思ったことを口に出してしまった。
エドワード様にも言えないのに。
「・・・これから何があってもエドワード様を信じてあげてください。」
マコト様は微笑んでそう言ってくれたが、その目にはうっすらと涙が浮かんでいたことに気づいてしまった。
ユキ様とマコト様のどちらを信じればいいのだろうか。
「ユキ様にエドワード様から離れた方がいいと言われてしまいました。」
本当は、ユキにエドワード様から逃げようと言われたが、オブラートに包んでマコト様に告げる。
マコト様はエドワード様から逃げろだなんて言わないわよね。
「レイチェル様・・・。エドワード様にはいろいろとお考えになった上でのことなのです。お辛いとは思いますが、少し距離をおいた方が私としても安心いたします。」
心配そうにこちらをうかがいながらも、きっぱりと告げるマコト様。
マコト様も私がエドワード様と離れた方がいいというの。
「直に機会が訪れます。その時はどうか、ユキとともにお逃げになってください。」
「マコト様は・・・?」
「私はエドワード様のそばについておりますので、ご安心ください。」
え?
それはどういうこと・・・。
私の代わりにエドワード様のそばにマコト様がいるってことなの?
私はエドワード様にとっては不要になったの・・・?




