エドワード視点10
マコトが来たからにはマコトと話をしないといけないが、レイチェルともっと一緒にいたい。
「では、少し話をしようか。レイチェル嬢も一緒に話を聞くかい?」
レイチェルと離れるのが名残惜しくて、一緒に話をしようとレイチェルに声をかけるが、レイチェルはゆっくりと首を横にふった。
どうやら仕事の邪魔をしてはいけないと思ったようだ。
「私はご辞退させていただきますわ」
「そうか。残念だな。レイチェル嬢が側にいれば、執務が捗るのに」
せっかく、レイチェルに会えたのにもう離れなければいけないだなんて。
「失礼ですが、殿下。レイチェル様がいらっしゃると殿下はレイチェル様ばかり構われ執務が滞ってしまいますが?」
名残惜しくて、レイチェルを見つめているとアルフレッドが刺々しい釘を指してくる。
しかも、執務が滞るだなんて、レイチェルに聞かれたくないことまで言うし。
アルフレッドは何か私に恨みでもあるのだろうか。
「気のせいだよ」
にっこり笑ってそう告げれば、アルフレッドの眉間のシワが一つ増えた。
レイチェルはアルフレッドの棘のある言葉に悲しげな表情を浮かべ、
「では、私は失礼いたしますね」
と、美しい姿勢で礼をする。
そんなに悲しそうな顔はしてほしくないのに。いつでもレイチェルには笑っていてほしいのに。
「ああ。名残惜しいよ、レイチェル嬢。執務を終わらせてすぐに部屋に行くから待っていてね」
アルフレッドの視線が怖くて、それ以上のことは言えない。
泣く泣くレイチェルが執務室から出ていくのを見送る。
見送ってから、ギッとアルフレッドを睨み付けた。
「なにもレイチェルの前でレイチェルを非難するようなことを言わなくてもいいではないか!レイチェルが今にも泣きそうだった。」
「エドワード様がいつもからしっかり仕事をなさっていれば言いませんよ。」
「ぐっ・・・」
だが、アルフレッドに正論を言われてしまい何も言えなくなってしまった。
どうしてだろうか。
私は皇太子なのに。
どうして、アルフレッドが私に命令をしているのだろうか。
「あの・・・お話し中失礼いたしますが、僕はここにいてもいいんでしょうか?」
マコトの申し訳なさそうな声をきいて、ふと我にかえる。
そして慌ててマコトに向けて笑顔を作った。
「ああ。すまなかった。では、そこのソファーに座ってくれ。話をしよう。」




