エドワード視点8
「今回来た異世界からの迷い人とはマコトという人物だ。元は隣国に来たらしいのだが、隣国には二人いっぺんに異世界からの迷い人が来たとかで一人が我が国に来ることになった。」
「そうでしたか・・・。マコト様という方はどういう方でいらっしゃいますの?」
レイチェルがなぜマコトの名を知っていたのかはわからない。
どこからその名を聞いたのだろうか。
そう思いながらも、レイチェルに深く尋ねることなく、ただマコトの情報を教える。
根掘り葉掘りきいて、レイチェルの負担になりたくないからだ。
レイチェルには余計な心配をしてほしくない。
「まだ、会ったことはないが聡明な人らしい。我が国がマコトの影響でどう発展していくのか楽しみだ。」
「そうですね」
本当はすでにマコトと会って話をしているのだが、あえてまだ会っていないと告げてみる。
もし、レイチェルがマコトの名を知っていたことが、誰かからのお節介かどうかを探るためだ。
私がマコトとすでに会っていることを知っている人物は数えるほどしかいないのだから。
そんなことはおくびにも出さず、にっこり微笑んで告げればレイチェルも微かに微笑んだ。
その笑顔が少し不安そうに見えて、内心ドキリっとする。
私が嘘をマコトに会っていないという嘘をついていることにレイチェルは気づいたのだろうか。
そうすると、私の側近の中にレイチェルに対してお節介をやいている人物がいるということになる。いったい、誰だ。
そんな気持ちは顔に出さずに、レイチェルを大切に抱き締めて微笑む。
「レイ。こうしてずっとレイを抱き締めていいたいが、そろそろ朝食にしよう。今日は部屋まで運んでもらうかい?」
「いいえ。食堂まで行きますわ」
「無理はしなくていいんだからね。では、着替えて食堂に行こうか。私が着替えて差し上げましょうか?お姫様」
茶化すように告げれば、照れたように笑いながら怒るという器用な芸当をするレイチェルがいる。
レイチェルにはずっと笑っていてほしい。
「エディ!ふざけないで。って、ちょっと夜着の裾に手をいれないで・・・」
戯れるように、レイチェルの夜着の裾から手をいれれば、すぐに気づいたレイチェルにピシッと手を叩かれ掴まれる。
照れているんだとは思うんだけど、拒絶されたようで少しだけ寂しい。
それに、レイチェルに触れているのに抱けないのは辛い。
「レイ・・・」
切なげにレイチェルの名を呼べば、戸惑ったように私の愛称を呼ぶ愛しいレイチェルが答えてくれる。
レイチェルは確かに私のことを好いていてくれる。それがわかって嬉しくなる。
「エディ・・・」
ゆっくりとレイチェルに口づけるために、目を閉じて顔をよせる。
ふるりっとレイチェルの睫毛が震えるのを感じてから、口づける。
「・・・んっ」
甘く優しいレイチェルの唇を堪能して、再び大切に抱き締め直す。
そして、もう一度今度は深く口づける。
このまま、二人の境界線がなくなって溶け合ってしまえばいいのに。
苦しくなったのか、しばらくレイチェルの唇を堪能していると、背中をトントンと手で軽く叩かれた。
苦しげに喘いでいるレイチェルも可愛いものだ。
「艶っぽいね、レイ。このまま抱いてしまいたいよ・・・」
「・・・ダメです」
再び、唇を重ねようとして、レイチェルに身をよせたが、レイチェルは私の胸を両手で押して拒否をする。
これ以上の戯れはダメか。
残念に思うが、これ以上レイチェルを堪能してしまえば、レイチェルを本格的に抱きたくなってしまう。
そろそろ頃合いか・・・。
ゆっくりとレイチェルから離れて微笑みを作る。
「子供が産まれるまでの我慢だね。私は我慢できるだろうか。だって、愛しいレイがここにいるのに・・・。でも、キスは構わないよね?」
子供のためと言い聞かせて、甘く囁けばレイチェルは小さく頷いた。




