エドワード視点6
フルフルとレイチェルの瞼が震え、ゆっくりと瞼が開かれる。
「よかった。目が覚めたんだね。急に倒れるからビックリしたよ」
レイチェルの手を握りながら柔らかく微笑む。レイチェルが不安にならないように。
「申し訳ございません。ご迷惑をおかけいたしました」
レイチェルは申し訳なさそうに、告げると瞼を伏せた。
レイチェルの頬に少しだけ赤みがさす。少し、元気が出たようだ。
でも、私は君に謝ってほしいわけではない。私はただレイチェルに笑っていてほしいんだ。幸せになってほしいんだ。
「謝ることはないよ。それに、レイが倒れたのは半分は私のせいでもあるんだから」
ちゅっ。と軽くレイチェルの白く柔らかい頬に唇をあてる。「好きだよ」という気持ちをこめて。
「そんなっ!倒れたのはエドワード様のせいではございませんっ」
「いいや。私のせいだよ」
レイチェルは頭を横に振って否定するが、レイチェルの具合が優れないのは、私の子を妊娠したからだ。
だから、半分は私のせい。
「違いますっ。私の自己管理能力が足りていなかっただけです・・・」
レイチェルは目に涙をいっぱい溜めながら、うつ向いてしまう。
そんな顔をさせたいわけではないのに。
どうしたらレイチェルは幸せいっぱいの笑顔を見せてくれるのだろうか。
最近は思い詰めたような表情ばかりで、そういえば笑顔という笑顔を見ていなかったような気もする。
そんなに皇太子妃になるということが苦痛なのだろうか。
私は、このままレイチェルを皇太子妃にしてもいいだろうか。
そんな気持ちは表にださず、ただただレイチェルを落ち着かせるために、笑顔でレイチェルの唇にそっとキスをした。
「愛しているよ、レイ。君はね、私の子を身籠ったんだよ?」
そうして、レイチェルの身におこった事実を伝える。すると、レイチェルは驚いたように目を見開いた。
ああ、そんなに目を見開くとあめ玉みたいに甘そうな目が落ちてしまいそうだ。
「えっ・・・?」
そっと、レイチェルは腹部に手をあてた。
その腹に息づいている存在を確かめるような手つきに笑みがこぼれる。
「ふふっ。これで、レイと一緒に過ごすことができるね。皇太子の子を身籠ったレイはもう皇家の一員だよ。来週には迎えにくるからね」
「えっ?」
愛おしいという気持ちをこめてレイチェルの腹部に触れ、優しく撫でる。
18際になるまで結婚はできない法律がこの国には存在する。
だけれども、18際になる前に相手を妊娠させた場合はすぐにでも結婚できる。
私は一日でも早くレイチェルを私のものにするために、レイチェルが妊娠することを願っていたのだ。
その願いが叶った。
「私の子を宿してくれたからね。この場合は例外があって、すぐにでも一緒に住むことができるんだよ。でも、部屋の模様替えとかあるから一週間は待っててね」
一日でも早くレイチェルと一緒に過ごしたい。それに、レイチェルをあの家から一日も早く引き剥がしたい。
あの家はレイチェルにとって毒の塊だ。それに私にとってもあの家の者はレイチェルを覗いては毒だ。
レイチェル。
私は必ず君を幸せにしてみせるよ。
だから、なにも悩まずに私の元に来てほしい。それから君を苦しめる君の家族は私がちゃんとに罰を与えるからね。
私はレイチェルの健やかな未来を願い微笑んだ。




