エドワード視点5
しばらくして、皇后付きの侍医がやってきた。
皇后付きの侍医は女性であるが、その職業柄か中性的な見た目をした年齢不詳の女性だ。
侍医は颯爽とレイチェルのところまで来ると、脈を診た。そして、ふんわりと微笑んだ。
「詳しいことは、レイチェル様が目覚めないとわかりませんが、レイチェル様は妊娠しておられます。」
侍医は診察が終わると一歩下がって礼をしながら伝えてきた。
一瞬にして、私の心は歓喜の渦に巻き込まれる。
レイチェルが、私の子を妊娠した。
私との愛の証である子を妊娠した。
なんとも言えぬ高揚感が私を包み込む。
「ああ………レイチェル」
感動して何も言葉が出てこない。私は診察が終わったレイチェルの側に侍ると、レイチェルの白く細い腕をそっと握りしめた。
レイチェルが私の子を妊娠してくれた。これで、レイチェルとすぐにでも結婚ができる。
そう、この国では、相手が妊娠した場合は年齢問わずに結婚することができるのだ。
一日も早くレイチェルと結婚をしたい私は、レイチェルが早く妊娠しないかとずっと期待をしていた。
そうして、やっとそれが結実した。
これほど嬉しいことはなかった。
「レイチェル。早く目覚めてくれ。この事実を君に早く伝えたいよ。」
「エドワード様。レイチェル様がお倒れになったのは貧血と心労からです。どうか、目が覚めたら安静にするようお伝えください。」
「ああ。わかった。診てくれてありがとう。」
貧血と心労か・・・。
レイチェルは食が細いから、栄養が足りていないのだろうか。
今後は、血の元になるレバーペースト等を食事に出した方がいいのだろうか。
料理長とも相談して、メニューを変えてもらった方がいいな。
心労か・・・。
今までもあまり政には、関わらせないようにしてきたが、これからはよりいっそう政には関わらせないようにするか。
レイチェルは皇太子妃に課せられる重責が負担なのだろうかと思い、できるだけ政からは遠ざけようと決めた。
本当はわかっていたのだ。
レイチェルの繊細で人に流されるような性格では、皇太子妃は勤まらないと。
でも、私はそんなレイチェルが好きだったのだ。
いや、どんなレイチェルでも好きになったと思う。その心に純粋さがあって、私を騙すようなことがなければ、きっとどんな性格のレイチェルでも好きになっただろう。
愛しいという気持ちを込めてレイチェルを見つめていれば、ふるふると小刻みに瞼が震えた。
どうやら、私の姫は目覚めようとしているらしい。
「レイチェル。私の愛しいレイチェル・・・。」




