その後のマコト3
「エドワード様。折り入ってお話がございます。」
そう言ってマコト様が私たちの部屋に入ってきたのはちょうどアレクサンドリアが1才の誕生日のことだった。
一日の執務も終わり、エドワード様とアレクサンドリアと部屋でくつろいでいたときに、遠慮がちにマコト様が私たちの部屋に入ってきた。
「ああ。マコトか。どうしたんだい?」
エドワード様はアレクサンドリアをあやしていたが、マコト様がやってきたのでいったん私にアレクサンドリアを渡してきた。私はアレクサンドリアをエドワード様から受け取ると、ぐずるアレクサンドリアをなだめながらソファに座った。
マコト様はツカツカとエドワード様の元に歩み寄ると、勢いよく頭を下げた。
「私はこの国を出ようと思います。」
マコト様が発した言葉はエドワード様も私も思いもよらない言葉だった。
まさか、マコト様が国から出ていくなど・・・。
そんなこと今まで思ってもみなかった。
「・・・ずいぶん急だな。」
衝撃はとても大きく、私はまだ声を出すこともできずアレクサンドリアを抱きしめることしかできない。
いち早く衝撃から立ち直ったのはエドワード様だった。
「いいえ。もうずっと前から決めていたのです。」
マコト様はそう言って静かに笑った。
ずっと前とはいつのことだろう。
でも、どうして今になって・・・。
「そうか。ここを出てどこに行くんだ?」
エドワード様の表情はいつもより暗い。
エドワード様は誰よりもマコト様のことを信頼していた。
年も近いし、仲のいい友人という立ち位置でもあったからだ。
たぶん、私よりもずっとマコト様とエドワード様は打ち解け合っていたように思える。
エドワード様もマコト様には随分と甘えていたようだし。
「・・・旅をしようと思っています。先日、レコンティーニ王国に勇者が誕生したと風の噂でききました。そうして、その勇者が仲間を探しているとか。」
「ああ。聞いている。勇者ハルジオンの話だな。」
「ええ。レコンティーニ王国のキャティーニャ村でダンジョンが発見されたとかでその同行者を探しています。私はそれに参加しようと思うのです。」
「そうか。キャティーニャ村というと、ユキ殿がいるな。」
「ええ。たった一人の妹ですから、側にいたいとも思いまして。」
「・・・マコト。マコトの気持ちはよくわかる。だが、決して自分を責めることがないようにな。自分を大切にしておくれ。」
エドワード様はそう言ってマコト様を抱きしめた。
それはまるで別れを惜しむように見えた。




